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545/555

545:結局成果ゼロ

【第三層群屋上展望台・世界樹】


「はぁ。不破関までの鉄道。ですか……。」

 商都梅田からの手紙は、便箋に万年筆で書かれている。

「あくまでも道路完成までの一時的な工事用軌道で、恒久的に使う予定は無いのですが。」

 商都梅田は使用している電車の図面も付けてきたが、こちらはマリーには専門外。

「長さ60ft、幅9ft2in……? たぶん『新幹線』は3m以上あったはずですが、どうなのでしょう。」

 鉄道はレール幅は国際基準があるので世界中どこでも(基本的に)同じで「新幹線」の線路を商都梅田の電車が走ることは可能だが、車両の幅など細かい仕様は異なる。


「ともかく、問題は2つ。半導体蓄電池より10倍エネルギー密度が高い炭化水素燃料(藻から抽出した燃料)の確保、図書館の備品には無い大型高速バスや大型トレーラー(ビッグリグ)の入手。移動図書館を再改造した電動の中型バスや3tトラックでは話になりませんね。」



【第三層群屋上庭園】


「餓鬼も数百年風雨にさらされると再起不能、深く埋まった餓鬼を掘るには重機が必要。ということで餓鬼の発掘は保留。ですね。」

「ダンジョン影響圏外への道路を作るにも数が必要になるから、本格的な機械工場が必要だな。ダンジョン内の田畑だってダンジョンの機能で耕すのは無駄すぎる。」

「異世界ならアメリカから芋虫社の機械を買ってくれば良いのですが、この世界にはアメリカは無さそうですからね。『無ければ作る』というのは可能な限り避けるべきですから、建設機械を産するダンジョンがあれば良いのですが。」

「そんなに都合の良いダンジョンは、そうそう無いからな。」

「それでも探すしかありませんね。作るというのは最終手段です。」

 と、言う割りには「最終手段」をけっこう多用している図書館都市ダンジョン。対等な相手というのが今のところ居ないので仕方ないが。


「それで、マリーさん、商都梅田の手紙には何か。」

「技術的な問題があるので、不破関まで鉄道を作って欲しい。という依頼と、彼らが使っている電車の図面ですね。たぶん幅が合わないと思いますが。」

「その辺はミントさんに相談し……、マリーさん何か?」

「ミントは工事用軌道の恒久化を主張していますからね。いくら150年前の物で技術的には遅れているとは言え、もし商都梅田から電車を購入するとなったら、今後、線路の撤去が出来ない危険があります。」

「でも、現状、バスもトラックも無いし入手の目処も立っていないが。」

「そこが問題なんですよね。もし自動車工場ダンジョンがあったとしても、日本ではゴミみたいな車しか作っていませんからね。大昔はアメリカメーカーの組み立て工場がありましたが、自動車運搬船が普及して以降は、まともな車は全部輸入です。」

 確かに異世界の日本車は二流だが、かなりマリーの主観的誇張が入っている。なお、世界によっては完全に事情が異なるのは言うまでも無い。


「ともかく、餓鬼に関しては情報収集しつつ、時期を待つ。ということか。」

「いろいろと使い勝手は良さそうですが、安定的な確保は難しいですね。」

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