543:身終横断鉄道
【身終の国・国府、山本】
「国主様、迷迭香の麹要鬼道、だったかナニカは、地形的事情から大餓鬼の南側1里を通るとのことです。一方、変態は遅れています。」
胡瓜修羅、桐生六郎が報告する。
「地図は渡したはずだぎゃぁ。」
裸子植物修羅なので全裸の長田左馬頭。修羅なのでR18にはならない。
「何でも、魯鈍だったかドロンだったか飛行カラクリで、可能な限り直線かつ最適な経路を確認したとか。」
「幼老から忘八ではいけないのかや。」
「入鹿池の北1里から西に向かうと大餓鬼の南になりますが、地形的な問題で最適とのことです。入鹿池・蝮・大餓鬼とも、概ね1里ほど離れています。」
「1里は近いな。迷迭香どもが餓鬼と揉めるのは勝手だが、政治的に延焼するのは困るし、物理的に火が付くのはもっと困るぎゃぁ。」
松修羅だけに松明になってしまう。
「ただ、彼らのダンジョンは相当に力がありますから、うまく誘導すれば身終の役に立つでしょう。個人的には、毛の国・勢多郡・鶴ヶ谷『完全変態の森』の蚕どもを滅ぼしてくれれば、奪われた山田郡の胡瓜一族の利権を回復できるのですが。」
異世界でも群馬はキュウリの産地。なお、お盆の精霊馬にアーモンドを付けるのは今世紀になってからの新しい風習。
「さすがに彼らに命令する力は無い。身終で、愛知郡と春日井郡の一部を分割して山田郡を設置しているから、その一部で我慢して欲しいぎゃぁ。」
山田の町は国府山本の南東、熱田の北東。山田郡でもセト神を奉じるセトの町などは胡瓜領ではない。
「不正確ですが、地図に迷迭香が作っている移動手段の場所を書き込んでみました。読書村から、朱鷺・蝮・海豚池・大餓鬼を経由して不破関です。」
「変態のダンジョン影響圏は観音寺の町までだったかや。」
「いえ、ダンジョン影響圏はさほど広くはありませんが、商都梅田は100里の彼方まで力を及ぼすことが出来ます。その限界が観音寺です。観音寺より西ではダンジョンの機能を使い、東は不破関まで人力で電車を作っています。」
「身終の輪形石は牛車なので、どうしても見劣りするぎゃぁ。」
「海豚池ダンジョンは電車を召喚出来ますが、性能は商都梅田のものよりだいぶ劣りますし、そもそも『電車』というものはダンジョンの特殊な力を使うので、あまりダンジョンから離れることは出来ません。」
「迷迭香は不破関まで250里も手を出すことが出来るかや。」
「そのあたりの原理は不明です。」
「ともかく、大餓鬼の餓鬼はいずれは何とかしなければならないぎゃぁ。」




