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526:塩と言えば

【第34層群・生涯学習棟・小研修室】


「男爵さん、生贄生贄と言いますが、ダンジョンごとに生贄の適性が違う。というのはご存じですよね。」

「いや、詳しくは知らぬ。そこは那須家の職域だ。」

「例えば、このダンジョンでは『価値』は情報であり、情報量が多い知的生命体ほど生贄としての価値が高くなります。要するに知識と経験を積んだ老人が寿命で死ぬのを待てば済みます。ダンジョン規模が大きいため、相当数の住民を養わなければなりませんが。」

那須塩原(なすえんげん)は水が乏しいため、家畜を飼う余裕はない。」

「水なら世界のコアにいくらでも……あ、このダンジョンは『図書館』なので電気と水は使い放題ですが、世界のコアやマントルに物質があっても、ダンジョンの特性と合わないと入手できませんね。」

 図書館都市ダンジョンは、水・電気や図書館施設の構造材・建具、つまり鉄・コンクリート・アルミなどは容易に入手出来る。

「塩ならいくらでもあるが。それで、向いた生贄の話だったな。」


「例えば、温泉ダンジョンの穴地獄は『熱量』。鉱山ダンジョンの火浣布(かかんぷ)の山は『筋肉』。中山(ちゅうざん)競馬場は『賭博』。順に、暑い人物、筋肉のある人物(マッチョ)、賭博好きが好ましくなります。もちろん、これらのダンジョンはいずれも規模が小さいため、無理にダンジョンの『価値』に合わせた生贄を用意しなくても、影響圏内に小規模な村でもあれば十分維持可能です。」

「だが、那須塩原(なすえんげん)は大規模なので生贄の『数』が必要だ。」

「はい。でも、人間は繁殖力が高いため殖えすぎ、修羅や畜生は逆に何か問題が起きると数が減って大規模ダンジョンは維持出来なくなりがちですね。例えば、西の巨大『地域型』ダンジョン、天竜区は龍族、つまりトカゲ・ヘビ・カメの獣人が住んでいますが、畜生は繁殖力が低いためか環境か社会に問題があるためか人口が減っているようで、いずれ維持は不可能になるでしょうね。」

 二足歩行する人間サイズ程度の爬虫類。トカゲとヘビは近縁だが、カメはかなり遠い。もしダンジョンの効果が「爬虫類」なら五位鷺など鳥にも効果があり、「トカゲ・ヘビとカメ」なら鳥には効果が無い。


「塩類平原だから塩。だろうか。塩か?」

「塩と言えば相撲……力士でしょうか。それにしても、なぜこの世界は異世界の相模(さがみ)相撲(すもう)になっているのでしょうね。」

「知らぬ。だが相撲は神事との関係も深いし、案外力士というのが正解かも知れぬ。」

「……ですが、ダンジョンの生贄ですよね。わたしはやっていませんが、力士を家臣として召し抱えるのは普通ですが、生贄として雇う、というのは難しいかもしれません。」

「力士を寿命まで養って死ぬのを待つ。というのは那須塩原(なすえんげん)には無理だからな。」

「力士は牛飲馬食(えびすこを決める)しますからね。馬脚も食べるので俸禄がかさみますが。」

 図書館都市ダンジョンは最初は馬脚の俸禄もギリギリまで切り詰めていたが、今は騎馬身分の小禄旗本程度の俸禄は払っている。ちなみに馬脚は下半身が馬、馬頭は逆に頭が馬。単に馬獣人と言えば一般には二足歩行し人並みの知能を持つ馬を指す(二足歩行だけなら、五冠馬もする……知能?あるいは?)。馬頭は地獄の獄卒として有名だが、足が馬では無いため馬より遅く、馬としては活躍しづらい。

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