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052:クローン体ミント(2日目昼)

【コアルーム】


館長キャプテン殿、敵軍を監視しつつ、ロケット弾も量産するのは到底手が回らないので、名無しで良いので何人か部下を召喚出来ないでしょうか。」

「しかし、確かミントはもう召喚出来なかったはずだ。」

「そうですね。名前付き(ネームド)モンスターの制約に、種族名と個体名が同じ場合、追加召喚は出来ない。というものがあります。ミントは種族名と個体名が同じなので、追加召喚は出来ませんし、繁殖させることも出来ません。」

「かといって、他の紫蘇(修羅)を召喚しても工学系の技能を持つとは限らないんだよな。」

「マスターとミントはどちらも設定上工学修士ですが、マスターはダンジョンマスター、ミントはダンジョンモンスターと異なります。わたしも設定上は修士ですが工学部ではありませんし、このダンジョンのモンスターは全て設定上は大卒ということになっていますが、学部は全員違います。ですから、次に召喚した紫蘇(修羅)は今居ない学部。場合によっては商学部とか経済学部とか、あまり役に立たない学歴の可能性があります。それにしても、商学と経済学は同じではないかと思うのですが。」

 役に立たないというのは完全にマリーの個人的偏見。なお、異世界召喚ではないので、本当に大学を卒業している訳では無い。


「え~と、ミントさんを改名して、それから別個体のミントを召喚、とかは出来ないのか。」

名前付き(ネームド)モンスターは改名出来ません。また、死亡しても復活可能ということから分かるように、わざと死なせて名前を空けることも出来ません。」

「さすがに修羅は植物みたいに挿し木でクローン修羅を増やすことは出来ないし。」

「普通に出来ますよ。やってみましょうか?」

「え!? マリーさん、知らなかった……。」

「ただ、挿し木で増やした修羅は、遺伝的にはクローンですが、あくまでも別個体なので、ダンジョンモンスターとして仕事をさせる場合は、一から教育する必要があります。サピエン先生のクローンを作っても医者にするには何年かかるか。」

「今回の籠城には到底間に合わないな。」


「クローナル植物の場合、自活可能な1本が『ラメット』、遺伝的に共通な1グループが『ジェネット』と言い、『ラメット』同士は地下茎で繋がっている場合も繋がっていない場合もあります。挿し木で増やすなど物理的に繋がっていない場合は元の個体とは独立していますが、地下茎で繋がっている『ラメット』同士は同一個体なので、つまり……。」

「何か良く分からないが、え~と……。」

「マスター、ちょっと待って、ミントなら分身の量産が可能かもしれない。」

「量産って。」

「植物のローズマリーは地下茎を出さないため、挿し木で作ったわたしのクローン体は別個体になりますが、植物のミントは地下茎で繁殖するので、無性的に(ダンジョンエネルギーを使って)ミントのクローン体を作れば、名前付き(ネームド)モンスターで種族名と個体名が同じ場合の制約により別個体には出来ないので、同一個体の分身を作ることが出来るかも知れません。」

「え~と、たしか孫文だったか孫武だったかがそんな術を使ったな。」

 孫悟空である。

「ミント、ちょっとダンジョンエネルギーでクローン体を作ることが出来ないか試してみて。」

側近書記セクレタリー殿、クローン体ですか。」

「地下茎を増やすようなイメージをして。そこにコアからダンジョンエネルギーを注ぎ込むから。」


 ミントの足元から四方に淡い光が伸び、その先で光の塊が生成される。その中から、ミント本人よりわずかに背が低い分身が登場。紫蘇(修羅)には性別は無くミントの人間体は中性的とは言え、裸というのはいかがなものか。(召喚した時は最初から服は着ていた。)

「ミント、服。」

「あ、すまない。」

 マリーの指摘にオリジナルミントが返すと、分身達はパタパタと部屋へ行く。


「ミントさん、分身の術は成功だな。」

「マスター、分身の術は残像が見えているだけで、しかも現実世界では不可能ですから、孫悟空の『身外身の法』に近いでしょう。」

「慣れないな。同時に動かすのは難しい。慣れるしか無いか。」

「マリーさん、ダンジョンエネルギーの残量から見て、分身はどれくらい増やせそう?」

「あまり余裕はありませんね。あと1回か2回か。次はちゃんと服を用意してから分身を生成しましょう。分身がダンジョン影響圏から出られるか、消すとどうなるか、あたりは後日確認として。」

側近書記セクレタリー殿、分身はあくまでもスーパー薄荷だから、やはり将来的には機械工学系の紫蘇(修羅)は必要になる。」

「どうするかは、今回の敵を片付けてから考えましょう。」

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