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508:土星・暑く乾いた砂漠惑星

【第259層群・プラネタリウム】


 マリーは4つの惑星と月を並べて投影する。

「まず、既知の惑星のうち、内側にあるもの。やや黄色がかった土色なので『土星』と呼ばれますが岩石惑星です。1年はこの世界の0.75年相当、太陽光の強さは異世界地球程度です。この世界や月と同様の砂漠惑星ですが、温度は高めですね。」

「やはり海のない砂漠惑星か。」

「この星系は伴星の少陽があるため星系外縁天体が維持出来ず彗星が少なく、内側の惑星には水が十分に供給されません。さらに『土星』はハビタブルゾーンの内側よりなので、あと10億年くらいで温度が上がって異世界の金星みたいになります。」


「10億年あれば十分だろう。まさかマリーさんは何億年も生きるつもりでは無いだろ。」

「人間の欲望に限りはありませんし、修羅は人間よりさらに強欲ですからね。わたしにとって|終末論《eschatology》なんて2文字削って不浄な言葉(scatology)です。哲学的な目的論(teleology)では、生物は海から陸へ、陸から空、さらに宇宙へ拡がるもの。という思想もありますね。」

「でも宇宙人は見つかっていない。」

「異世界地球でも知的生命体の大部分、海にいるタコやイルカ、手の無いカラスなどは科学技術文明には向きませんし、宇宙に手を出す既知の方法は科学技術だけです。ですから仮に宇宙人が居ても基本的には見つかりません。もし、この世界の『土星』の生物が異星人なら大発見ですが、残念ながら異世界地球に情報を送る方法は分かりません。」

「逆に異世界から情報を持ってくるのは容易なんだが。」

「はい。この世界へ伝えたい情報を同人誌にでもして帝国図書館に納本すれば済みます。ある意味、このダンジョン自体がそのための存在ですからね。」


「それで、この世界の『土星』に生物が居るのは、ほぼ確実と。」

「大気中に大量に酸素を含みますからね。『生命存在指標(バイオシグネチャー)』といって、植物に相当する生物が居ると考えるのが自然です。もちろん、無人のダンジョンだけが存在する。という可能性もゼロではありませんが、この世界ではダンジョンの長期的維持には知的生命体が不可欠ですから、『土星』も同様と思われます。要するに、植物が存在するか、ダンジョンと知的生命体が存在するか。ですね。」


「植物が生えているかは分からないか。」

「ちょっと遠すぎますね。月なら表面同士は4万kmですが、土星は2,500万kmもあります。異世界火星の大接近に比べたら半分とはいえ、望遠鏡で観測するには遠いですね。ちなみに、ハビタブルゾーンは太陽に似た恒星の場合、エネルギーが0.75~1.5kW/m2、つまり異世界地球の0.55~1.1倍の範囲で、この世界が0.7倍、土星が1.0倍です。それ以外の惑星はハビタブルゾーンを外れますから、自然状態では暑すぎるか寒すぎるかで、居住には適しません。」

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