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493:乳幼児死亡率が増加する国は滅びる

【第一層群・事務室(旧コアルーム)】


「マスター、ダンジョンは多様なので、分類に正解はありません。例えば、平原や森といったダンジョンでも、地上に拡がっていたり、地下空間だったり、岩山の上に載っていたりします。さすがに空中に浮くのは物理的に難しいでしょうが。」

「それで、『りーじょん』だったな。」

「ダンジョンの環境自体が何百kmも拡がっているものですね。異世界の那須塩原とか丹沢とか、元から数百平方キロある『地域』を参考にしている場合、もっとも、那須塩原(なすえんげん)は、異世界の那須塩原(なすしおばら)と塩類平原の要素が複合したものですが、あと、三角草野みたいに異世界と関係無いものがありますね。」

「それなら、浦和の田島ヶ原なんかも平原ダンジョン化できないのか。」

「あれは、元から、異世界でもそこまで広くはありません。」


「そもそも、ダンジョンを人為的に作ることが出来るか。が問題だな。」

「『ダンジョン大百科』には書かれていませんね。とはいえ、『死体憑依召喚』のように書かれていないことは他にもあります。」

「明らかに邪悪だからな。」

「わたしが善良か、というと分かりません。理念として『物心共に健康で豊かな生活を実現する』を掲げていますから、あまりに酷いことは避ける方針ですが。」

「戦場で旗にするには長いな。」

「信玄は『風林火山』、謙信は『毘』1文字でしたからね。家康の『厭離穢土欣求浄土』が長い方でしょうか。」

「で、秀吉に江戸(穢土)を勧められて、改名を禁止されたんだったな。」

「生産力や交通という点では江戸は最良ですからね。一方、治水に莫大な労力が必要なので、秀吉としたら『生涯泥と戯れていろ』という考えもあったでしょうが。」

「そして、500年近く経っても完成していないと。」

「そもそも治水は『完成』するものではありませんからね。だから王朝が天命を失うと保守点検が疎かになり、結果として天災が頻発するのです。天災は原因となる大雨や地震や害虫の発生などが無いと表面化しませんが、問題は治水に留まりませんから、乳幼児死亡率が増加傾向になると、その国は危ないと分かります。」

「その点、ダンジョンだと統計は容易で危険信号は素早く察知できるか。」

「はい。ダンジョンモンスター以外の全住民は『侵入者』として監視できます。外から来た人の年齢は推測しかできませんが、ダンジョンで生まれた子供は全て年齢を記録していますから、亡くなったらすぐ死亡年齢が分かります。」

「移民は分からないか。人別帳が常に正しいとは限らないからな。」

「ダンジョンが冒険者を計測しても、そこまで多くのことは分かりませんからね。寺請証文が正しいと仮定してデータベースを作るしかありませんね。」

「マリーさん、寺請証文が無い者は証言しか無いな。」

「人別帳に記載が無い者は『無宿』で、移民では無く余剰人口ですから、もしダンジョンの秩序を妨げる場合は、可哀想ですがサド金山に送るしかありませんね。ただ、この世界のサド金山は奴隷から直接金を得るため、金が得られない修羅の大部分や畜生の一部は必要ありません。」

 修羅でも、とある理由で蘭(ファミリー)は重宝される。

「今後数が増えたら面倒だな。」

「住民では無いので、ギロチンである必要は無く、犯罪者は本で焼けば良いのですが、問題は下手人(斬首)程でも無い素行不良者ですね。関八州所払いしても世界全体では解決になりません。異世界でも、受け入れ国の無い難民は国際連盟のナンセン国際難民事務所が対応しきれず、南北両半球の『ナンセン島』に事実上の島送りにしていましたが。」

「じきに流刑地が必要かな。」

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