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490:始まりの第一層群

【第一層群・事務室(旧コアルーム)】


 第一層群は、某市の研修用図書館を複製召喚したもので、全てはここから始まった。なお、ダンジョンコアは屋上の世界樹に吸収されたため、既にここには無い。


「マスター、今日はいろいろありましたね。収穫祭、そして無人偵察機にも着手しました。」

 晩酌代わりの修羅用液肥を飲みながらマリーが言う。

「今日で丸四年か。」

 ビールを開けるダンジョンマスター。

「マスターがマニュアルを読まずにチュートリアルをすっ飛ばして、わたしを召喚。それからスライムとプラモデルを入手しました。」

「確か、本来は牛頭馬頭を入手出来る設定だったはずだ。おそらく司書が馬頭。牛頭が何なのかは不明だが。」

「牛頭馬頭と言っても地獄では無く、おそらく畜生系ダンジョンだったのでしょうね。今は修羅系ダンジョンですが。」

 マスターが司書、つまり「librarian」を「ダッチロールの怪物ハネダブライアン」と誤解したのが諸悪の根源だが、当然マリーは知らない。もっとも、最初に司書を召喚していたら、本を焼いて冒険者を集めるなんて奇策は思いつかなかっただろうし、ハインリヒ・ハイネが言うように人まで次々焼くようにはならなかっただろう。その場合、わずか4年でここまで巨大化はしなかったと思われる。


「それで、スライムは生きていないどころかモンスターですら無かったと。」

「要は洗濯糊で、教材キットですね。このダンジョンでは、書籍と同じルートで流通するムック本などは書籍扱いで複製召喚できます。スライムの次に複製召喚した『週刊 カサブランカ級護衛空母をつくる』も、全50号に1つづつ1/700のプラモデルが付いてくる分冊百科です。全部揃えると、ほとんど同じ見た目の模型が50個も並ぶという、読者を選ぶ商品ですが。」

「ミントさんは50隻全部組み立てて本棚に並べているが、吾輩には全部同じに見える。アメリカも、何を考えて50隻も作ったんだろう。」

「カサブランカ級は、排水量1万tか速度20ktを越えるとロンドン海軍軍縮条約に抵触するので、8,000t・19ktとした、国外米軍基地の防衛や護送船団で使うために量産された艦ですね。なんでも、最初は量産型タンカーの流用が検討されましたが、排水量が1万tを越えて条約に引っかかるため新造したそうです。」

 第二次世界大戦が無かった世界でもカサブランカ級は存在する場合がある。また、第二次世界大戦が起きた世界では、カサブランカ級に加え貨物船やタンカーの流用で100隻以上が建造されている。


「この世界の1年は立春に始まりますから、わたしは5歳ですが、このダンジョンの成立は秋分なので満年齢では今日で4歳ですね。」

「4歳では選挙には行けないな。」

「そもそも、この世界には民主主義は存在しませんからね。年齢は問題ありません。」

 それ以前に召喚モンスターの場合、実年齢は関係無い。

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