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482:相変わらず解決しない人口問題

【第三層群屋上展望台・世界樹】


「これでダンジョンは5周年ですが、毎年課題は変わりませんね。将来的な人間の人口爆発を抑える方法の模索と、図書館で入手出来ない工業製品の確保です。」

「25年ごとに人口倍増なんかされたら、あっという間に破綻するからな。」

「この星系に居住可能な天体が4つか5つあっても、半世紀しか稼げませんからね。異世界日本の場合、明治維新以来200年で6倍ですから、150年程度は余裕が出来そうですが。インド帝国は4億から25億、中国は清朝の5億が帝国・民国・後清など合計30億ですから、やはり6倍ですね。ただ、6倍と言っても、人間は元から数が多いですから、ダンジョンの主導権を巡って争いが起きる危険があります。」

「人口の大多数が人間になると、少数派支配は維持困難か。」

「異世界でも、民族や宗教などバランスが崩れて破滅した国は多々ありますからね。つまり、人間の増殖を抑えつつ、紫蘇(ファミリー)、あるいはシソ類の修羅を呼び集める必要があります。しかも、人間に感づかれないように進める必要があります。」

「修羅や畜生は人間ほどには殖えないか。」

「人間は牛馬より繁殖力が高いですからね。ただ、このダンジョンの場合、移民を修羅に限る。という選択肢はありませんでした。その方針では生き残れなかったでしょう。」

「要するに、選択肢は無かったから仕方ないと。」


「仮に、移民を修羅に制限し、人口抑制のために食料生産ダンジョンを破壊するなどして、人間を意図的に飢えさせたとしても、逆にこのダンジョンが攻略されて終わりでしょう。人間の数が多いと言うことは、数の暴力が可能と言うことです。ダンジョンは圧倒的な能力を持つ少数と基本に愚直な大軍を苦手としています。」


「飢餓と疫病と内戦。という訳にも行かないな。」

「図書館と言う制約が影響しますからね。飢餓から効率的に感情エネルギーを収集するダンジョンなんて、ろくな存在では無さそうですが。ダンジョンそのものが住民の感情エネルギーに依存している以上、運営理念の『物心共に健康で豊かな生活を実現する』を維持した上での人口抑制が必要です。」

「だが、環境を良くすると際限なく人口が増える。」

「生活水準を維持した上での人口抑制に有効なのは、乳幼児死亡率を21世紀水準に引き下げることですが、それには高度な医療技術が必要です。つまり、このダンジョンでは入手出来ない医薬品や医療器具が必要と言うことです。」

「無ければ作る。という訳にも行かないか。」

「比較的簡単な物ならそれも有効ですけどね。でも、単純に知識だけでは解決しない問題には無力です。」

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