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481:収量1,000万石・年貢300万石

【ダンジョン地上部・第34層群】


 さすがに第34層群の中庭はあまりにも手狭のため、今年はダンジョン前に広場が作られている。

 ダンジョン中枢を囲う城壁、というか丘の土留めは周囲7kmの円形、つまり直径2.2kmであり、下部では300m四方程のダンジョン本体とは800mほどの間隔がある。広場以外にも菜園や果樹園を初め様々な施設があるが、それでも広場は50万人程度を収容可能。

 なお、城壁の外、丘の麓には直径2.8kmの環状道路があり、24方向に幹線道路と転送陣が伸びている。さらに郊外には直径10.4kmの環状道路があり、遠い将来はその外側まで概ね200km2余りが都市部となる予定。


「このダンジョンが誕生して、まる4年、今年の収穫予想は千万石を越える見込みです。」

 マリーが宣言すると、詰めかけた住民達から歓声が上がる。くだらない(関八州産)酒が振る舞われ、明らかに商標的にダメな焼き印が押された紅白饅頭が配られる。

「いよいよ、来年の作付けは百万町歩の予定です。おそらくそれで、近隣地域の食料需要を満たせる計算です。その後、桑や茶、柿を初めとした果物は数年、杉や桧は数十年で十分に生産出来ますね。」

 気の長い話だが、栽培される作物の大部分は紫蘇(ファミリー)とは近縁では無く、ダンジョンによる成長促進効果は桐などシソ類に属する少数の例外を除き得られない。



【第三層群屋上展望台・世界樹】


「千万石です。わたしは修羅なので饅頭は食べませんが。あと、別に食べないだけで、鳩マークの煎餅を踏むようなこともしません。」

「人間は食べ物を粗末にすることを嫌うが、修羅もそうか。」

「食べ物で遊ぶのは畜生の一部くらいですよ。まぁ、異世界アメリカでは星条旗ドアマットが愛国グッズだったりしますから、踏み絵も食品で無ければ効果は無さそうな気はしますが。」


「収量1,000万石ということは、四公六民で年貢は400万石か。」

「いえ、このダンジョンは反収1石換算の定免法(じょうめんほう)なので、300万石ですね。あと、実質的に裏作は非課税となります。ダンジョンは運営にダンジョンエネルギーを使用するため、金銭の必要量は少なくて済みますから、果樹園や家屋に課税できるようになり、鉱山ダンジョンの収入で補えば、十分維持可能です。さすがに異世界のような福祉国家は運営できませんが。」

「そもそも、江戸時代並の経済水準・技術水準でどうこうできるものでは無いと思うが。」

「根本的に生産力が足りませんからね。まずは資本主義社会への移行を順次進める。でしょうか。もっとも資本主義は技術は急速に進みますが、いろいろ問題はあります。」

「かといって、手をこまねいていたら、それこそ『黒船』が来ないとも限らない。」

「この世界、いえ、この星系に、他にも同様のダンジョンが無いとも限りませんからね。とはいえ、現時点では全く技術的にどうしようも無い状況ですが。」

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