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477:宦官

【第三層群屋上展望台・世界樹】


「あるいは、ダンジョンは異世界の産物を複製召喚していますから、この世界の余剰人口を異世界に……複製では人口過剰の問題は解決しませんね。」

「それに、ダンジョンモンスターなら生きていないし、死体を複製するのと変わらないな。」

「ダンジョンの機能で動いている『ゾンビ』ということになるでしょうか。」

「ゾンビだかソンビだか……。」

 異世界日本の隣国、大韓帝国では上級の5級公務員試験に合格したものの仕事が無くニートをしている者を「ソンビ」と言う。ちなみにマリーのような政策担当秘書の資格要件の1つは上級の公務員試験合格であり、実は官僚のみならず官庁訪問全滅の和製ソンビでも良い。

「小塚原刑場ダンジョンはソンビですね。日本では科挙は普及せず、本格的に高等文官試験が導入されたのは明治時代ですから、おそらく小塚原刑場ダンジョンでソンビは複製召喚出来なかったと思われます。」


「つまり比企ニートであっても、官僚登用試験に合格すればソンビというわけか。」

「世襲のサムライと試験による官僚の扱いは難しい問題ですね。異世界日本でも平安時代に限定的に導入したものの、結局は普及しませんでした。あと、異世界日本で広まらなかったのが宦官ですね。大々的に導入すれば、いくらかは人口対策に有用でしょうが。」

「異世界中国だと弊害が多すぎたな。」

「宦官が権力と財産を求め、政治が腐敗。王朝自体の崩壊はマルサス的な人口過剰ですが。」

 このダンジョンも、繁殖能力を持たないマリーが権力と資産をかき集めているが。


「あと、人口対策に導入するなら、相当大規模にやらないと無意味では。」

「今の中華民国の広州あたりを統治した『南漢』でも人口の2%ですからね。その影響か、香港の競走馬は宦官だらけですが。」

「せん馬だな。」

入間(いるま)川越(かわごえ)が、日本での『せん馬発祥の地』ですね。仙波(せんば)氏とは直接の関係はありません。せん馬どころか、左馬允(さまのじょう)どのは2人目の息子が生まれましたが。」

「でも幼名は長男にも次男にも次郎が付くんだよな。」

「嫡男は初代当主の幼名を継ぎますから、初代に次郎が付いていれば、そのままです。元服したら別の名前を付けるので問題ありません。もっとも、(いみな)で呼ぶのは親とわたしくらいですが。」

 仙波家はダンジョンの直臣なので、主君はマリーしか居ない。


「異世界日本の進化党内でも、昔、人種改良の進め方で、馬匹改良を参考に大々的な去勢を主張した者もおり、それに家族制度の廃止を主張する真社会党が賛同して騒ぎになったことがあります。」

「異世界は無数にあるから、中には真社会党が政権取った世界もあるか。」

「探せばあるでしょうね。他にも、いろいろと変わった政策が採用された世界もあるようです。ただ、このダンジョンの制約として、日本語の図書館が無いと新聞も入手出来ませんから、あまり極端な世界だと存在自体を知ることが出来ません。」

「他のダンジョン……情報を取り寄せられるダンジョンは他には見つかっていないか。」

「はい。そもそも、大部分のダンジョンは、怪物や鉱石、この世界にも存在する宝物、小判・反物・米俵・酒樽・昆布などしか産しません。このダンジョン以外では肥料として使用される干鰯や油粕も基本的にはダンジョン産ですね。」

「それで、商都梅田や海豚池(いるかいけ)が例外と。」

「明治以降の工業製品を産するダンジョンは例外中の例外ですね。」

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