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476:火星に相当する世界

【第三層群屋上展望台・世界樹】


「鳥獣人の孵卵器か……。実験する訳にもいかないか。しかもホトトギスの繁殖は異世界でも困難。」

「マスター、確か『火星の大元帥』のバスルームでも、火星人は卵生でしたから、この世界の鳥獣人も似たような者と考えれば……小説では技術的な参考になりませんね。」

 誤読。bathroomではなくBarsoom。

「火星人というとタコというイメージがあるな。」

「『宇宙戦争』の影響ですね。ただ、どうやら異世界の火星と違って、外側の惑星は、この世界や月、つまり異世界の地球と似たような大きさです。おそらく重力もさほど大きくは違わないでしょうから、もし宇宙人が居てもタコ型とは限らないと思われます。」

「でも、この世界にもタコ型の蛸坊主は居るから、タコ型かもしれないな。」

「公転周期が1.33年、つまり、この世界と3:4で、2年近い異世界の火星よりは近い、最短で半分の3,000万kmと言っても、埼玉の第455層群や熊本の第2,511層群にある40cm反射望遠鏡でも、生物までは見えませんね。ただ、太陽の光は火星程度でハビタブルゾーンの外となるため、火星同様に寒冷と思われます。」


「この世界も比較的涼しいからな。その外側となると気温面では年中氷結しているか。」

「この世界の太陽は、質量は異世界の太陽よりごくわずかに軽いだけですが、若いためか、明るさは7~8割程度しかありません。このため、この世界は異世界地球の7割程度の太陽光しか受けていませんから、雲が少ない砂漠惑星で無ければ凍結していると思われます。これに対し、むしろ内側の惑星が異世界地球に相当する環境と思われます。地球より海が多い模様ですが。」

「内側の惑星には生物はいるだろうか。」

「公転周期0.75年で金星の0.6年より近い、こちらも3:4ですが、こちらも遠すぎて見えませんね。酸素があるなら生物が居ると見て良いでしょうが、そこまで精密な観測は手が回っていません。」

「都市の明かりは観測できないのか。」

「惑星全体が都市化しているならともかく、このダンジョン程度の都市では分かりませんね。何らかの文明が存在すると分かっているのは月だけです。とはいえ、内側と外側の惑星は理論上は居住可能ですし、遠方の伴星、この世界で言うところの『少陽』の惑星も居住可能かもしれません。あくまでも仮説ですが。」

「そうなると、月を含め、少なくとも3つの天体が植民地化可能。ということか。」

「少なくとも4つですね。もう1つ外側の惑星も凍結しているとは言っても植民地化は可能です。しかも、いずれも無人またはさほど人口が多くは無さそうです。イギリスの政治家、セシル・ローズは言いました。『イギリス帝国の人民を血なまぐさい内乱から守るためには、われわれ政治家は、過剰人口を収容するために新領土を開拓しなければならない。彼らが内乱を欲しないならば、彼らは帝国主義者とならなければならない。』と。もちろん宇宙開発に間に合わせるためには人口抑制が前提ですが、かなり長い間破綻を先延ばし出来ると思われます。」

 セシル・ローズは宇宙帝国主義の提唱者。


「何年稼げるか。が問題になるな。」

「マルサス・ダーウィン主義の基本原理は、人口は指数関数的に増えますが、生産力はそこまで増えないので、必然的に貧困と飢餓をもたらし、大規模な災害や戦乱によって調整される。というものです。異世界は大量の原子力エネルギーと化学肥料で無理矢理食料生産を増やしていますが、既に人口は限界を超えています。」

「抑制しても50年で人口が倍増するなら、惑星1つが飽和してから5つがパンクするまで100年あまりか。」

「宇宙都市を低コスト化して量産するか、超光速移動を可能にするか、あるいは……。」

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