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046:入植者第三陣

【第四層群1階応接室】


 霞ヶ関(かすみがせき)から騎士団の家族や下男達、一族郎党が到着。人数も多いため、マリーと騎士団長は新しい村について相談する。

「書記長殿、それがしが見たところ、西の入間いるま側には問題は無い。東は30~40里ほどは無人で海賊が来るには遠すぎる。となると、危険なのは北西から南東に延びる中山そんぶん路だ。」

「北西方面ですね。比企など海賊は大抵こちらから来ますし。」

「いや、長期的には南東、隣国の国府台こうのだい方面が危ない。北西は、書記長殿の実力ならじきに足立の端まで平定できる。」

「南東ですか。こちらも足立の端は5里か6里くらいあるので遠すぎますよ。」

「そこまで遠くでは無く、ここから南東、2里ほどの土地に『岸村』を置きたい。2里ならすぐ駆けつけられる。」

「2里でも影響圏外ですが。」

「なに、四方八方均等に広げる必要は無いんだろ。」

「そう頑張ってみます。2里と言えば、中山ちゅうざん路が台地から降りるあたりですね。」

「そうそう。実際に見て来たが、見晴らしも良く拠点とするには良さそうな場所だ。水も台地沿いにここから引くことが出来るし。」

「2里は遠いですけどね。間に谷が無いだけましですが。」

中山そんぶん路が再稼働したら、岸村の背後に宿場を置き、台地の縁は砦として、南東方面に備えることにしたい。また、牧草地を作り馬を飼うつもりだ。それがしをオジサン呼ばわりしない馬を。」

 根に持っている騎士団長。


「播磨介殿、岸村を作るなら、中山ちゅうざん路も2~3里くらいは整備しないといけませんね。そこから、南西の国境まで順次復旧させるか、南の豊島としま方面を優先するかはその時考えるとして。」



【コアルーム】


 同日同時刻、マスターは移民についてアンから報告を受けていた。

「国の北部、幡羅はら男衾おぶすま那珂なかから少しづつ入植者が来ています。さすがに国外からの移民はハルナさんだけですが。」

「入植者は入間経由、それとも中山ちゅうざん街道?」

「入間です。中山ちゅうざんは北西も南東も100kmほど無人地帯ですから、旅人には厳しいでしょう。」

「しっかり街道を整備すれば3日行程ではあるか……。足立の端まで6里だか8里だかなので、さらにその先にも宿場が必要だな。でも、どうやって維持する?」

「宿場にそれぞれ騎士団を常駐させて宿場を守りつつ海賊を討伐出来れば……。」

「現時点では無理っぽいな。メードさん、入植者を部屋に案内してあげて。」

「アンです。いい加減名前覚えていただけませんか。」

「すまぬ。」



 このとき、図書館都市ダンジョンの遥か東、隣国(ふさ)のさらに向こうで、この地を狙う遠征軍が組織されていることは、マリーも騎士団長も知らなかった。

中山は中華圏では「ちゅうざん」と読みますが、孫文を指すので岸団長みたいに「そんぶん」と読んでも間違いではありません。中山公園・中山路などはそこらじゅうにあります。

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