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456:材木の栽培には何年も必要

【第三層群屋上庭園】


 世界樹よりは低い場所、第三層群の屋上には庭園がある。


「ミント、やはり、最も必要とされているのは木材ですね。」

側近書記(セクレタリー)殿、正直言うと『何を今更』ですが、需要が高く、代替が難しく、このダンジョンでの供給が不十分なのが木材です。」

「確かに魚、正確には海水魚も生産出来ませんが、飯沼(いいぬま)ダンジョンなどで不足する分は、このダンジョンで鶏を殖やして補うことが出来ていますね。」

「鶏は年50個も卵を産むため1年で20倍に殖え、雄は8割くらい食用に廻せますから有用です。まだ日常的に卵を食べる余裕はありませんが。」

 この世界には卵用鶏(レイヤー)肉用鶏(ブロイラー)も居ないため、鶏は1年かけて成長し年50個程度の卵を産む。

「植物の種が付いているムック本はありますが、鶏の卵が付いた物はありませんね……。異世界の改良された鶏が居れば生産性は桁違いになるのですが。」

「生きた卵を書籍の流通ルートに載せるのが困難だから仕方ありません。」

「牛馬なら雑誌の付録で手に入らなくても、どっちみち、この世界の人間は基本的に肉を食べないので問題ありませんが、鶏は残念ですね。」

「畜生の一部は肉食だが、数は多くは無い。そういえば、このダンジョンの狂犬隊が、中山(ちゅうざん)競馬場ダンジョンでの犬追物(いぬおうもの)で、人数が150名居ないにもかかわらず、1人も倒されずに騎馬3チームを一掃して完勝している。」

 犬追物(いぬおうもの)は騎手が鏑矢、犬は柔らかい刀や槍などを使用し、双方とも目に当たらないよう眼鏡を着用する。各チームの騎馬武者が何人の犬を『倒した』かで勝敗が決まり、犬が騎馬武者を『殲滅』したら犬の勝ち。

「いずれは三角草野と再戦が必要ですし、ダンジョン影響圏外への外征軍の強化は不可欠ですね。」


「それで、側近書記(セクレタリー)殿、直接木材を産するダンジョンは、ダンジョンエネルギーの収支面で持続可能性に欠けます。大量の木材を生産するなら、やはり太陽光を活用するしかありません。」

「ですが、生きた植物を育てるには年数が必要ですね。ダンジョンは対応する科の植物の生長を促進できる。と言っても、生物の限界は超えられません。稲(ファミリー)ダンジョンなら水稲の生育が早くなると言っても、タケノコ並にはなりません。」

「そもそも竹は例外だ。」

「前世紀初めの小説『失われた世界』では、白骨死体を貫通した竹を見た登場人物が、竹が生長する長期間、死体が残るはずが無い。と言いますが、実際には竹なんて1ヶ月で成長しますからね。イギリス人はイタドリや竹を庭に植えて大失敗していますから、そこまで生育が旺盛な植物があるとは、頭では分かっているけど理解はしていない。という状態ないのでしょう。」


「イタドリか。」

「平家の落人の野菜ですね。」

 ナチュラルボーン・レイシストのマリーは平然と差別発言をする。確かに山奥では食べるが平地の一般人は食べない。

「紫蘇(ファミリー)には、そこまで殖える厄介な植物は無いな。」

 せいぜいミント程度。ただし、このダンジョンのミントは、種族名と個体名が同じダンジョンモンスターなので、追加召喚も種子繁殖もクローンの作成も出来ない。環境によっては青紫蘇と赤紫蘇の交雑種が殖える程度。

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