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448:ダンジョンを敷き詰めるという案

【第三層群屋上展望台・世界樹】


「マリーさん、もし、もしもだけど、西の周の国までこのダンジョンと同サイズのダンジョンを並べたら、いくつ必要だろうか。」

「6,000kmと仮定して、現在ダンジョン影響圏の半径が1,373kmですから、西側に2つ……という計算ですね。」

「案外少ないな。ダンジョン影響圏内なら転送陣が使用可能だから、ダンジョンを並べて転送陣を繋げるという手もあるか。」

「それも難しい問題が多々ありますね。まず、ダンジョン影響圏の上限は通常100リーグ(483km)ですから、その場合ダンジョンを5つ並べる必要がありますし、その規模すら万では効かない膨大な数の生贄が必要になります。」

「確かに、虐殺した人数だけなら、おそらく、このダンジョンは那須塩原や石の神殿アスカといった生贄を多用するダンジョンを越えるな。」

「歴史上でも商王朝やアステカは生贄で有名ですが、大規模な戦乱の方が桁違いの犠牲者が出ています。世界史上最悪の戦闘とも言われる世界大戦のソンムの戦いでは100万を越える戦死者が出たと言われています。」

「マリーさん、それならむしろ、大国(きび)と戦争でもすれば生贄の数は揃うのでは?」

「いえ、(あわ)(ふさ)連合のように統率に難がある烏合の衆ならともかく、兵法の基本に忠実な大軍はダンジョンの天敵です。それこそ趙括や馬謖が軍勢を率いて攻略するなら、落ちないダンジョンはそうそう無いでしょう。むしろ名将の方が考えすぎて苦戦すると思われます。」

「このダンジョンでも陥落するのか。部外者立入禁止だが。」

「わたしだって敵に転送陣は使わせませんから、敵兵が数十万段の階段を登るのは困難でしょう。ですが、ダンジョンのエネルギー源は人の感情です。戦乱により住民の生活が不安定となり、ダンジョンエネルギーが不足したら、巨大ダンジョンこそ容易に崩壊します。もっとも、単に面積が広いだけで延々と塩の大地が拡がっている那須塩原ダンジョンなら、すぐに崩壊なんてことは無いでしょうが。」


(きび)などの大国を敵に廻さず、十万単位の人を殺さないといけない。か。」

「ただ、小塚原刑場ダンジョンみたいな事態は二度と御免です。」

「ダンジョンコアが溜め込んでいたエネルギーが想定外だったか。」

「はい。異世界の小塚原刑場では20万人が処刑されたとも言われますが、江戸の死刑は世情不安の幕末でも年100件程度ですから、実際には1万人くらいで、おそらく伝馬町牢屋敷の獄死者などを含む数でしょうね。ですが、小塚原刑場ダンジョンは概ね100万人分を越えるダンジョンエネルギーを溜め込み、多数の異世界から無数の刑死者を複製召喚していました。」

「つまり、そのような膨大なエネルギーを溜め込んだダンジョンがあるなら、理論上はダンジョンを巨大に成長させることも可能ということか。」

「あくまでも可能性ですね。多数の異世界で大量に死者が出て骨が埋まっている地点なら、対応する場所にそのような大量にダンジョンエネルギーを溜め込んだダンジョンがあるかもしれませんが……。例えば、大阪・梅田駅は元は墓地で、大量の人骨が埋まっていました。ただ、活用しようにも、実際には脳が焼き切れる可能性の方が高いでしょう。」

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