表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/607

044:確かに馬だけど、騎乗できるのか、コレ?

【図書館ダンジョン前】


 入植希望者がちらほら居るため、ゆっくりと人口は増加。そんなある日、マリーの所へ馬耳の生えた娘がやって来た。

「ハルナって言います。馬を探しているって聞いたので、馬借ばしゃくより稼げるかな。って。」

 服装は女物の着物に袴。馬面だけど頭は人間でたてがみは無くただの黒髪。見える範囲では耳と尾と足が馬、つまり馬脚で草鞋を履いている。手は人間なので明らかに四足歩行は出来ない。よく見ると瞳孔は横長。要は下半身と目・耳が馬。

 なお、馬借ばしゃくとは、動物の馬の背中に載せ、あるいは馬獣人などが自分で背負って荷物を運搬する業者。


「馬……?」

「馬ですよ。馬。どこからどうみても鹿には見えないでしょ。角も無いし。……たしかに毛色は鹿毛かげですけど……あたし、まさか鹿では無いよね。」

 鹿だって牝には角は無い。牛なら(品種によっては)あるが。なお、鹿毛でも鬣と尾と馬脚の先(膝より下)はかなり黒に近い色なので、顔が馬では無く服を着ていると黒毛(青毛や青鹿毛のこと)との判別は困難になる。茶髪は栗毛、白髪は芦毛、禿は何だっけ。


「馬の仕事は、騎兵隊で騎士を載せるとか、畑を耕すとか、馬車を曳くとか重労働ですが……。」

「だいじょーぶ、だいじょーぶ。力に自信はあります!」


「ゆくゆくは繁殖させて馬を殖やすつもりなのですが……。その……。あなたが……。」

「できれば白馬の王子様とか。」

 一瞬顔が赤くなる馬。……馬だよな? 白馬に乗った王子様では無く、芦毛の馬獣人の王子様なんだろう。



【第四層群1階応接室】


「ラージャ将軍、騎士団長、軍馬ぐんばとは思えませんが、ダンジョンで雇い入れようと思うのですけど、どうでしょう?」

「あたし、群馬ぐんま生まれ。」

「軍馬だったのですね。繁殖させて騎兵隊を組織して賊を悉く地獄送りにしましょう。」

「……繁殖……。」

「それ、『ぐ・ん・ば』ではなく、『ぐ・ん・ま』では無いのか?」

 馬の顔は真っ赤だし、明らかに誤解が起きていたので、口を挟む岸団長。

「群馬とは、ここ足立あだちから遠く北、大里おおさと榛沢はんざわ児玉こだまといった地域のさらに向こうで国も違う。比較的獣人が多い地域らしい。」

「それは遠いですね。道中、海賊とか怖くありませんでしたか?」

「騎馬の海賊なんて滅多に居ないし、もし居たところで逃げ切れます。」

「足が速いのですね。千里の馬とか?」

 ラージャが聞くが、山賊(海賊と自称している)が乗った馬より、荷物が軽い馬獣人の方が速いのは当然。

「千里は無理だけど、1日に10里でも15里でも軽く。20里は少し疲れるかな。」

「ラージャと言います。よろしくお願いします。えっと、名前は……?」

「ハルナです。で、この髪の長い子を担いで戦場駆け回れば良い訳ね。」

「私か、こちらの岸団長か。」

「えっと、オジサン乗せるのは……さすがに、それはちょっとイヤかも。」

「ならラージャにお願い。馬具を用意しないといけませんね。播磨介殿には動物の馬を探しましょう。」

 とマリー。

「異世界にも『人馬鞍』という鞍があり、岡藩主の中川久清が使っています。でも、登山では無く戦場で使うなら向きを逆にするべき。」

 指揮官が戦場で後ろ向いていたらダメだ。馬の頭の上から戦場を見渡す方が良い。……でも、馬獣人の背負子に乗った武将なんて絵面的にどうかと。


「決まりですね。牛飲馬食と言いますから、一人扶持では足りないでしょう。まず20俵、いや100俵5人扶持、しばらくは米が無いので代用食ですが……。」

「大盤振る舞いだな。」

 と、岸団長。江戸時代の下級武士は30俵2人扶持(40俵)程度だが、ハルナ号は125俵相当。ただし、これは江戸時代なら家臣2人(槍持・中間)とメードが居る程度で、騎乗身分としては少ない。

「千里の馬が欲しければ、馬では無く馬獣人でも厚遇すべきです。そうすれば、馬の方からやってくるでしょう。」

「私は『死馬の骨を買う』と言う言葉を聞いたことがある。もちろんハルナ号は生きているが。」

「生きていても、西の方にはおっかない商人が居るからな。近江泥棒伊勢ナントカ。って。そういうのに目ん玉抜かれないように気を付けろよ。」

 馬では無く馬獣人がぞろぞろやってきて、全員が岸団長を乗せない。なんてことになったら……。

「獣人」は大抵の世界で頭が動物なのですが、それでは牛頭馬頭と紛らわしいので下半身(と目・耳)だけが馬というシーレーノス類似に。その代わり、広い視界を持たないという欠点も。……で、牛頭馬頭って解剖学的に話せるのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ