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438:西方への道程・竜の遊び場、長の国

【第三層群屋上展望台・世界樹】


「そして、既知世界の西端、(なが)の国。」

「蛇を長虫とも言いますから、蛇の国。住民の多くが蛇なのか、蛇は少数で支配階級なのか、蛇崇拝の宗教なのかも不明ですが、とにかく蛇の国ですね。」

「何も分からないのと同じだろ。それ。」

「はい。何も分かりません。誤用ですが『(へび)が出るか(じゃ)が出るか』程度の情報量ですね。」


「世界の西の端か。」

「世界自体は球形ですから、そのまま進めば東側に出てくるでしょう。ですが、歩いたら何年も必要でしょう。そして、もし裏側が完全に無人の砂漠だった場合、徒歩では補給が保ちません。」

「補給の問題か……。」

「自動車では、航続距離の長い炭化水素燃料ですら燃料の問題が出る上に地形に著しく影響されますし、飛行機でもペトゥレル(ウミツバメ)みたいな宇宙機でないと燃料が足りないでしょうね。」

「海が無いからな。転送陣みたいな『ダンジョンの機能』にそんなものは無いだろうし。」

「そもそもダンジョンの機能はダンジョン影響圏内でしか使えません。固有法則では無く物理現象で動いている物なら、理論上は持ち出すことは可能ですが、外では到底維持管理出来ません。」


「異世界日本だと山口の先は九州だが、なぜか九州は南西方向にあったな。」

「この世界、少なくとも九州が2カ所にありますから、(なが)の西にも九州要素の地域があるかもしれませんね。」

「確か南西、鳥兜(するく)の向こうと……?」

「北西、三角草野の先、大和堆(やまたい)国が邪馬台国ですね。こちらは海底地形の方の影響でしょうが。」

「紛らわしい漢字表記だな。邪馬台国は九州なのに、大和(やまと)では奈良になってしまう。」

「魏志倭人伝は魏の功績をでっち上げるための誇大広告ですからね。遺跡から見ると邪馬台国は7万戸もありません。それに、奈良の纏向遺跡では九州由来の土器は少ないことから、ある程度の交易関係はあったものの政治的には別勢力だったと分かっています。」

「ああ、考古学ではそうなるのか。」

「邪馬台国が魏に使節を送ったのが240~250年頃です。一方、奈良の纏向遺跡が180年頃成立。政治的な意味で実質的な初代天皇である崇神天皇と垂仁天皇・景行天皇あたりの在位年数は大幅に水増しされていそうですが、この頃の乏しい伝承には邪馬台国はありません。つまり神話でも邪馬台国は大和ではありません。」

「政治的な意味で実質的な。か。」

「神武天皇の橿原遺跡は、(みやこ)と言う規模ではありませんからね。」

 第二次世界大戦が無かった世界なので、開化天皇以前を公的に否定することはできないが、考古学的に見て実態は天皇とは言えなかったのではないか。というのが異世界での概ねの見解。


(きび)周辺の小勢力、蛇来(ははき)の国とか石の国とかも何も分からないと。」

「はい。有用なダンジョンがあるかもしれませんから、速やかに何らかの偵察手段が必要ですね。おそらく、周か(なが)あたりが経度的には月の真下になるとは思われますから、月に望遠鏡を置けば常時監視可能でしょうが、現状では月は遠すぎます。」

「正確には、月の真下はその南の赤道上だろうな。」

「はい。この世界と月は、潮汐力の関係で位置が固定されています。もし軌道エレベーターを作るなら、月の直下か、あるいは月の裏でしょうね。ダンジョン構造物でも強度が足りなさそうですが。」

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