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437:西方への道程・中華世界、周の国

【第三層群屋上展望台・世界樹】


「芸のさらに西が、中華王朝、周の国だったな。」

「はい。図書館都市ダンジョンから推定6,000km。芸以上に詳細不明です。そもそも(きび)より向こうは全部詳細不明どころか基本的なことも分かりません。」


「異世界では岡山や広島も中国地方だが。」

「中国地方は単に畿内と鎮西、つまり九州との間という意味で、吉備も出雲も中国人の国ではありませんね。隋書に出てくる中国人の国『秦王国』が大分または山口と言われますが、大分に多い(はた)氏はチベット・羌族系で漢族では無く、おそらく五胡十六国の後秦由来と思われること、筑紫から難波へ行くには山口沿岸を通るのが自然なことから、当時の中国人の国は山口でしょう。」

「つまり、異世界日本の歴代総理には中国人が10人くらい居るということか。」

「いえ、例えば山縣有朋・桂太郎・田中義一は萩なので長門ですし、もし先祖が毛利氏に付いてきたなら広島でしょう。逆に、鎌倉時代の博多には中華街(チャイナタウン)があったように、ほかにも華人は居ます。あと台湾人の過半も中国系ですね。台湾から始めて総理が出たのは前世紀の末で、かなり年数がかかっていますが。」

 大韓帝国は存続し、第二次世界大戦は無かった世界。


「それで、この世界は異世界の地理と名称に少し歪んで影響されるため、周の国は中華王朝となったと。」

「断言は出来ませんが、そのパターンでしょうね。異世界の那須塩原(なすしおばら)那須塩原(なすえんげん)ダンジョンみたいなものです。」

「ただ、中国の8~10倍の距離感と言う訳では無いと。」

「異世界の中国は1万里四方。中国の一里は500mで、実際には南京の中華民国と北京の中華帝国(袁朝)盛京(ムクデン)後清帝国(愛新覚羅朝)を足しても5,000km四方はありませんが、それでも大きな国です。距離感8倍なんて惑星1つ分になってしまいます。逆に、この世界の周の国は、どうやら1,000km四方程度、古代だと1里は300mですから3,000里四方程度の『ミニ中国』ですね。それでも歩いたら横断に30日は必要なようですが。つまり、この世界は日本文化圏が主体であり、おそらく中国主体の中華世界は別なのでしょうね。それこそ月にあるのか、星系内の他の惑星なのか、はてまた別の恒星は分かりませんが。もしかしたら、この世界の反対側に、北極から南極まで拡がるような大中国が無いとも限りませんし、そもそも存在自体しないのかもしれません。」

「確か、中華帝国だったか、初代皇帝が即位半年で崩御したのは。」

「洪憲帝ですね。後清皇帝は長生きとは言えませんが1967年で、1958年に崩御した中華帝国の二代目皇帝よりも長く生きていました。」

 マリーが良く知る異世界の後清は、アメリカの影響が強い国。


「この付近は技術的には江戸時代水準だが、周の国は技術水準も古代中国なのか、技術は清あたりなのか。」

「そこまでは分かりませんね。ただ、別に鎖国している訳では無く(きび)とは交流があること、中国人は高等民族ということから、極端に差は無いと思われますね。もちろん縄文王国諏訪湖みたいに、あえて技術を拒否している例もありますが。」

「諏訪湖は、そういうダンジョンだから。というのもあるだろう。」

「ダンジョンと言えば、『仙境』という仙人が住むダンジョンがあるそうです。ただ、おそらく物理法則から見てダンジョンの外で仙術を使うことは出来ないでしょう。ともかく、航続距離が届く飛行機を入手できたら、詳しく調査すべきでしょうね。ダンジョン影響圏の西の端からでも往復1万km近いというのが問題ですが。」


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