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429:地雷原突破

【越の国・頸城郡・谷底の関所】


 関所は谷になっており、2日もかけて急斜面を登る必要も無いが、なぜか三角草野からはいつも通り行商人がやってくるだけで敵襲は無い。

「敵が来ないのは良いのですが。」

郡司(ぐんじ)様、警戒を怠ってはいけません。ここが一番弱い場所です。」

「分かっているって。それで、図書館都市は関所を閉めろとか言っている?」

「いいえ、通常通りに通行させ、ただし奇襲には十分注意するように。という依頼が届いています。」



【越国府・今池・木戸】


「横暴だ。」

 三角草野の行商人達は口々に言う。

「三角草野による、我が(こし)に対する武力侵攻の可能性があります。情勢がはっきりするまで、ここ、今池に留まってもらい、三角草野への帰還は認めません。」

 (こし)の武士達が町の木戸に立ち塞がり、行商人達の帰国を止める。



【第三層群屋上展望台・世界樹】


「マリーさん、(こし)が引き留めている行商人を捕まえて処刑するのか。」

「難しいところですね。現状では三角草野を滅ぼすのは不可能です。そう考えると、侵略者は根切りにし、行商人は突き返す。というのが落とし所です。一方、この『行商人』、証拠はありませんが間違い無く三角草野の工作員です。」

「証拠は無いけど。か。」

「今後、三角草野を攻略するならば、少しでも相手の力を削ぐべきですね。人間と違って修羅はポンポン殖えたりはしませんから。」

「ダンジョンを攻略するなら、冒険者か軍勢ということだが。」

「圧倒的な個の力か、組織化された数の力か。ですね。本来、ダンジョンは、ダンジョンマスター及び全ての名前付き(ネームド)モンスターがコアまで到達可能。侵入者が居る部屋には罠や怪物を追加で配置できない。という制約があります。このダンジョンは部外者立入禁止の固有法則を持ち、地上と地下はシステム的には別扱いなので敵の足元に落とし穴を生成可能ですが。」

「無茶苦茶だな。」

「それでも、十分な戦力があれば攻略は可能でしょうね。それに、凡庸な筑波(つくば)内薬佑(ないやくのじょう)や寄せ集めの(あわ)(ふさ)混成部隊でも、普通はダンジョンの攻略には十分です。」

「特に指揮官の能力は必要無いと。」

「ダンジョンの対応能力を超えた大規模な軍勢の投入による『数の力』を組織として活用するのが基本中の基本です。指揮官は趙括・馬謖で十分ですね。むしろ、ダンジョン相手には基本に忠実な彼らこそが向いています。」

「ならば、狂犬隊や山猿隊を増強して攻め込むと?」

「三角草野は大規模ダンジョンですが、趙括と40万の兵が居れば兵法の定石通りに攻略することは可能でしょう。ですが、軍勢によるダンジョン攻略は、どうしても犠牲が避けられませんからね。外征軍と言っても基本は『ダンジョン防衛のために影響圏外へ派兵する』もので、全くの侵略で犠牲が出ることは好ましくありません。」

「そもそも40万どころか現状では外征軍は4,000居るかどうかだな。ウサギ(USA G.I.)は西方の同族がこちらに来る予定とは言え、それでも1万人は居ない。つまり冒険者しか無いか。」

「冒険者、それもいつも居る人達では無く、全くの他から雇った冒険者なら。とはいえ、三角草野を攻略できる冒険者を雇うことが出来るか。それ以前にそんな冒険者が居るか。という問題がありますね。おそらくラジウム爆弾が最も有用でしょうが、容易には入手出来ません。」



【越の国・三島郡】


 大荷物を担いだ蚊帳吊草(ファミリー)修羅が黙々と急斜面を登ってくる。

「よーく引きつけて……撃て!」

 狂犬隊・山猿隊・鶏鳴隊が手際よく……とはいかないが、蚊帳吊草(ファミリー)修羅を撃ってゆく。とはいえ図書館都市の戦力は乏しく、(こし)はそれなりに人数が多いとはいえ武器は火縄銃。接近する三角草野の者を全員を撃つことはできなかったが、それでも何人か撃たれると他も慌てて逃げてゆく。



【越の国・頸城郡】


 500kmの範囲は到底手が回らず、地雷原しか無い場所もある。蚊帳吊草(ファミリー)修羅達は鉄条網に近づくが、運が悪い者が地雷を踏む。しかし、地雷原すら無い場所も多い。

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