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426:三角草野、行動する

【三角草野ダンジョン・太陽神殿】


「筵を編む者、『地雷』とは何か分かるか。谷地坊主(やちぼうず)達からの知らせによると、紫蘇ダンジョンが量産し、(こし)に運び込んでいるらしい。」

 シペルス・パピルス、太陽に愛されし者が、レピロニア・アルティキュラータ、筵を編む者に聞く。

「猊下、おそらく蝦蟇の妖術を使う忍びです。」

 この世界には「埋め火」という原始的な地雷兼時限爆弾のようなものはあるが、「地雷火」は講談等には登場するが製法は知られていない。また、三角草野の文字は子音のみ表記するもので、もちろん漢字は無いため、自来也・児雷也と「地雷也」は区別出来ない。

「また妙な怪物を用意したな。」

「ヒキガエル(ファミリー)畜生のダンジョンを手懐けたのでしょう。武蔵(むさし)の国には比企(ひき)郡という地域があります。ダンジョンで召喚した怪物では無く、ダンジョンに住んでいる畜生の種族なら、ダンジョンから出ることも可能です。」

「確かに、ダンジョンの恩恵は特定の(ファミリー)が得られるから、ヒキガエルダンジョンならヒキガエルが集まるな。」


「猊下、筵を編む者、参りました。」

 筵を編む者と入れ替わりに、レピロニア・アルティキュラータ、筵を編む者がやってくる。

「筵を編む者、さらに『行商人』の数を増やし関所を飽和させ、種子を持ち込むことは可能か。」

「可能とは思われますが、知られた場合に報復の危険があります。なにしろ相手はあの虐殺者です。人員だけ送り込み、(こし)南東部からの引き揚げと合わせて一挙に関所を突破して種子を運び込むと良いでしょう。」

「ただ、関所からの輸送手段が問題だ。ダンジョンの外では船は使えぬ。商都梅田の『鉄道』だったか。それならダンジョンの外でも使えるそうだが。」

「猊下、あのような絡繰りは『電気』という、限られたダンジョンが持つ特殊な力が無いと動かないそうです。歩くしかありません。」

 もちろん電気はダンジョンの機能では無く物理現象なので、発電機と燃料があれば電力は入手可能だが、この世界では知られていない。

「なら、待てば状況が改善するものでもないし、早めに動くべきだな。なにしろ、紫蘇ダンジョンの行動は予測不能で方針も理性的とは思えない。」



【三角草野ダンジョン・太陽神殿】


「受け入れ準備は出来た。沼を渡る者、全ての葦舟を動員し、(こし)へ一斉に種を運び込む。」

 シペルス・パピルス、太陽に愛されし者は、葦舟使いのスキルプス・カリフォルニクス、沼を渡る者を呼び出す。

「猊下、飽和攻撃ですか。さすがに関所も耐えられないでしょう。」

(こし)の人口は300万。武士は10万人あまりと思われるが、半分は文官で子供や老人も多い。また人間は雌雄があり雌は通常は籠城担当のため、戦力は1万人程度。足軽あしがる中間ちゅうげんを足しても2万人程度。このうち半分を動員し50イテルゥ(525km)に分散させれば三交代として1人あたり300メフ(156m)とまばらになる。つまり全面で一斉に乗り込めば(こし)は対応出来ないだろう。」

「あの、猊下、関所を突破するのでは。」

「関所の突破は犠牲も多いし、1カ所だけなら相手も対応可能だろう。1,000カ所で一斉に乗り込めば、相手も到底全てを守り切ることはできない。」


「紫蘇ダンジョンと戦う必要は無いし、(こし)とも無駄に争う必要は無い。針金を切って侵入し種を播いたら逃げ帰る。武装した相手からも逃げる。それで十分だ。それで、(こし)のこちらに近い部分では、もはや稲は育たない。」

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