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419:三角草野、断念する

【三角草野ダンジョン・太陽神殿】


「猊下、紫蘇に対する対応案をまとめました。」

 レピロニア・アルティキュラータ、筵を編む者が、シペルス・パピルス、太陽に愛されし者に報告する。

「まず、(こし)国主(こくしゅ)越山(えつざん)、関八州遠征を焚き付けます。そもそも、(こし)の旗印が越山(えつざん)です。なお、昔の国主が()の国に向かったところ、途中の魔の山で雹に襲われ全滅し国主も即死、以降越山を諦めているそうです。」

 軍事的な意味の全滅、軍事行動不可能という意味であり、人数的には過半数は逃げ帰った。全員が死んでいたら何が起きたかは伝わらない。ちなみに上杉謙信の旗印は「毘」。

「筵を編む者、ダンジョン相手だと、数が多ければ勝てる物でも無いだろう。」

「もちろん負けるでしょう。怨恨の種を播き混乱させるのが目的です。」


「勝てないのは分かるだろうから、(こし)は乗って来ないと思うが。」

「そういう動きが出る。というだけで十分です。次に国主(こくしゅ)の失脚を謀ります。なにか、つまらぬ疑獄事件でも引き起こし、お家騒動を誘発させます。(こし)は種牡人を使う文化で国主(こくしゅ)に実子は居ませんから、お家騒動の誘発は容易でしょう。サド金脈とか、落花生とか、火種はいろいろあります。」

「ラッカセイ? 膃肭臍(オットセイ)の親戚か? せん人に精力剤が必要とは思えないが。」

「猊下、南京豆です。つまり精力剤です。なぜか国主(こくしゅ)は落花生を好んでいるようで。」


「それで、(こし)を混乱させたところに、カレクス達を全員送り込んで、徹底的に種を蒔き、稲栽培をやめさせる。か。問題は紫蘇の介入だが。相手の生産力を越える過剰な難民でも押しつけて難民危機を引き起こすことは出来ないか。」

「猊下、相手の生産力にはかなりの余裕がありますから、難民危機を起こすには100万人以上必要です。さすがに(こし)の全住民を押しつければ、相手は破綻するでしょうが、輸送手段がありません。また、遠方から連れてくる場合、葦舟を大量に用意しても船頭がいないと動かすことができません。」


「筵を編む者、いっそ冒険者を雇って紫蘇ダンジョンを攻略してしまうのは難しいか。」

「猊下、困難ではあります。さすがに100万(お手上げ)ということは無いでしょうが。」

 ちなみに、古代エジプト象形文字で100万は「お手上げ」で書かれる。

「可能性はあるか。」

「ダンジョンには、マスター及び全ての名前付き(ネームド)モンスターがコアまで到達可能なこと。という制約があります。特殊な種族のダンジョンでは、例えば水棲生物でないとコアまで到達出来ない。といった可能性がありますが、紫蘇は普通の修羅なので、強力な怪物と致命的な罠に対処できれば攻略自体は不可能ではありません。ただし、あの規模のダンジョンは、間違い無くきわめて強力な怪物が居ます。そして、サブコアは3方向に46イテルゥ1390メフ間隔。紫蘇ダンジョンは半径100イテルゥ(1,050km)を越えるため、おそらくサブコアは10個以上あるでしょう。これらを全て破壊しないとダンジョンは攻略できません。」

 実際には図書館都市ダンジョンには怪物は居ないが、「部外者立入禁止」というとんでもない固有法則を持つ。なお、サブコアは東西南北の4方向に配置される。

「確かに、並の冒険者では手も足も出ないな。無害な冒険者のふりをさせて潜入させ、一斉蜂起。というのも難しい。そもそも、稲作をやめさせることが目的であり、無益なダンジョン間戦争では無い。」

「猊下、諦めますか。」

「今のところは。ただ、巨大過ぎるダンジョンは内部に弱みを抱えることになる。攻略は出来ずとも、破綻の手助けは可能だろう。」

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