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402:難防除雑草クログワイ

【第三層群屋上庭園】


「マリーさん、雑草の正体は分かりそうか。」

「マスター、異世界の図鑑と同じならクログワイ……水田の難防除雑草ですね。こちらがウキヤガラ、あと、シズイ・ホタルイ・ミズガヤツリと。」

「クワイか。確か越ヶ谷あたりで食べる。」

「いえ、それとは全く別のカヤツリグサ科雑草ですね。……全部カヤツリグサ科ということは、蚊帳吊草(ファミリー)の修羅が関係していると思われます。」

「決めつけは良くないと思うが。」

「確かに推測でしかありませんね。それで、三角草野。カヤツリグサ科は茎が三角なのが特徴ですから、名前から見て蚊帳吊草(ファミリー)の修羅がいるダンジョンの可能性が高いと思われます。あんまり(こし)を引っかき回すようなら、地域の安定のためにも首吊草にしてやった方が良いかも知れませんね。」

「シソ科が四角だったな。」

「はい、四角が多いですね。ですからこのダンジョンの基本構造にも四角が埋め込まれています。ただ、影響圏は距離で決まるので概ね円形ですし、ダンジョンの起源としては紫蘇ダンジョンでは無いので違うところもありますね。」


「それで、誰かが(こし)の水田に雑草を植えていると。」

「動機があるのが、おそらく三角草野。何らかの方法でダンジョン影響圏を100リーグ、482.8km以上に広げることが可能になったのでしょう。それこそ、過大なエネルギーを溜め込んだダンジョンコアを無理矢理影響圏に押し込み暴走させる。とか。わたしが危うく死にかけたように、下手をするとマスターなり筆頭モンスターなりの頭が焼き切れかねませんが。」

「もしそうなら、村の収穫を無くして住民を追い出し、ダンジョン影響圏を広げるという訳か。」

「それにしても、田畑に雑草を蔓延らせて住民を追い出し、ダンジョンに組み込む。ですか。考えましたね。街道に迂回路を作って過疎化させる。なんてのは元から過疎化した村にしか効きませんが、産業自体をダメにしたら村を捨てるしかありません。」

「マリーさん、まねしますか。」

「いえ、やめておきましょう。シソ科にはそこまでの難防除雑草はありませんし、直接的に村を滅ぼすようなことをしたら近隣との関係が悪化します。それに、図書館は文化的な存在で、戦いからはあまり感情エネルギーを得られません。」

「それで、難防除雑草というのは?」

「除草が面倒で作物に悪影響のある雑草。ですね。もちろん水田か畑か果樹園か、あるいは気候などで異なりますが、例えば、クズ・スギナ・ツユクサなどですね。単に良く殖える。というだけではありません。(こし)は、この世界では珍しく水田が多いので、クログワイが蔓延ると大変な事になります。」

「異世界みたいに除草剤で一掃とはいかないか。」

「まず、農薬の生産には高度な化学工場が必要で、いい加減に製造すると有害な副産物が混じります。次に、除草剤は修羅への影響が不明なので安易には使用できません。昆虫専用の農薬なら、このダンジョンには昆虫獣人が居ない以上、正しく製造・使用すれば大丈夫とは思われますが。」

「昆虫獣人には有害なんだろうか。」

「昆虫と言ってもいろいろな種類が居ますから農薬によるでしょうね。例えば農薬の世界ではアリとシロアリは全くの別物ですから、『真社会塔』がアリなのかシロアリなのかで使用する農薬は異なります。」

 もちろん、前世紀の原始的な農薬ならアリにもシロアリにも効くが、農薬は効果がある範囲が広いほど副作用が強い傾向があり、害虫にはろくに効かないくせに人間には実によく効く。というものすらあった。

「あの、マリーさん、農薬を撒くつもりで?」

「あくまでも選択肢ですね。」

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