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388:火浣布の山への投資計画

【第三層群屋上展望台・世界樹】


「え~と、異世界の奥秩父方面は、大理石および鉄と亜鉛を中心に、金銀銅・鉛・マンガンなど140種もの鉱物を産する。と。火浣布(かかんぷ)の山が異世界と極端に産物が異なることは無いでしょう。ただ、火鼠は、おそらく毛皮がアスベストですから、抜け毛には注意しないといけませんね。」

「アスベストなのか。」

「そもそも火鼠の皮衣というのは異世界では毛皮では無くアスベストの布で、平賀源内は秩父産のアスベストで火浣布を生産しています。つまり、場所と名称から見て、物質としてはアスベストと思われます。それが生物学的に生成されるのはダンジョンの機能なのでしょう。アスベストが少なくとも人間と動物には危険なので畜生も同様でしょうが、修羅は異世界には居ないため害があるかは不明です。」

「動物実験……じゃなくて植物実験をしてみる訳にもいかないか。」

「畜生なら、知性体では無い類縁の動物がいますが、修羅の『人間体』は植物、いわゆる『栄養体』とは大きく違いますからね。実験するという訳にもいきません。」


「マリーさん、火浣布(かかんぷ)の山も、穴地獄みたいにテコ入れするのか。」

「いえ、何も無かった穴地獄と異なり、そこまでは必要無いでしょう。必要な鉱物を産するよう、ダンジョンにエネルギーを補給するだけで良いでしょうね。」

「それで餓鬼を使うと。」

「餓鬼も在庫が乏しいので、無駄遣いはできません。当座のダンジョン崩壊防止に餓鬼を生贄にし、それから入植者を何千人も送り込んで食料や水を運び込み生活させ、ダンジョンにエネルギーを与えます。」

「それで金鉱石を産するか。」

「いえ、おそらく金は世界のコアにさほど高濃度では含まれませんし、少数の生贄だけでは無理でしょう。入手難易度の高い産物を入手するか、ダンジョンの産物を外部に大量に運び出す場合、多くの生贄が必要になってきます。例えば(ふさ)の東端にある飯沼(いいぬま)ダンジョンは、管理者の居ない魚を産するダンジョンですが、比較的頻繁に遭難者が生じ、300年に一度程度は千人規模の大量遭難が起きています。」

「管理者不在なのか。」

「はい。知性体では無いので、ダンジョンエネルギーが減ってきたら本能で冒険者を襲うのでしょう。ただ、もし知性があっても魚というダンジョンモンスターを生産し続けるにはダンジョンエネルギーが大量に必要になってきますから、結局は生贄が必要なのですが。」

 産する魚はダンジョンモンスターなので生きてはおらず、ダンジョンから出すと活動を停止する。

「このダンジョンでも生贄は必要だからな。」

「図書館都市ダンジョン……図書館では無いと言う問題はさておき、影響圏半径が1,371kmと大きいこともあり、生贄は年1万人くらい必要な計算です。」

「万……。殷王朝かアステカか……。」

「この世界では商都梅田と石の神殿アスカですね。ただ、どちらもダンジョン影響圏は小さく直径1里かそこらとのことなので、ダンジョンの維持だけならそう多数の生贄は必要無いはずです。生贄が多めに必要な固有法則があるかも知れませんが。」

「確か殷は生姜を生贄にするんだったか。」

「商王朝なら生姜(しょうが)では無く生羌、そういう民族ですね。でも、商都梅田なら主食は生姜焼きでは無く三食たこ焼きでしょう。」

 明らかに偏見。設定上の経歴がどうであれマリーは別に異世界転生者では無いため、異世界の梅田へ行ったことなど無い。


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