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361:決戦・日本駄右衛門

【塚原の町の前】


「おい、敵の町が動いているぞ!」

 塚原の町で、建物がゆっくり動いている。砂が集まり転送陣の出口の上に砦のような物が出来、倉庫が背後に下がってゆく。日本駄右衛門の陣地からはよく見えないが、転送陣が盛んに動いて何かを運んでいる模様。

「いよいよだな。野郎ども、敵がどういう手を使ってくるか分からないが、絶対にダンジョンには入るなよ。」



【第三層群屋上展望台・世界樹】


「マスター、火箭(ロケット)の在庫を全て使用します。」

「あれ作るの面倒なんだけどな。」

「出し惜しみ出来る相手ではありません。」



【塚原の町】


「まず、火豚隊が火豚を切る!」

 正しくは「火蓋を切る」で、火縄銃の火蓋を開き戦いを始めるという意味。豚獣人が火箭(ロケット)を撃つという意味でも、古代ローマみたいに火を付けた豚を放つ意味でも無い。普段はキャラ付けのために「ブヒ」とか言う豚獣人も、さすがに戦闘の時は冗長を省き簡潔な言い方をする。

「こちら管制、朝鳴鶏。火箭(ロケット)誘導、準備ヨシ!」

 誘導と言っても誘導ミサイルではなく、発射台の方位と角度を計算して目標の近くに打ち込む。というもの。そもそも鉄パイプに肥料を詰めたもので、到底目標に命中させられる精度は無い。



【塚原の町の前】


「はっはっは、外れてやがる。たいしたことないな。」

 火箭(ロケット)は陣地を盛大に飛び越え、背後の荒野に着弾。



【第三層群屋上展望台・世界樹】


「マリーさん、敵陣の後ろに外れているようだが。」

「かまいません。だんだん陣の方に着弾させて追い立てます。」



【塚原の町の前】


「野郎ども、嵌められた。散開。後ろに逃げろ!」

 罠に気付いた日本駄右衛門が叫ぶが、手下達は降り注ぐ火箭(ロケット)に追い立てられるように前、ダンジョンの方へ逃げてしまう。

「おい、戻れ、こら!」

 日本駄右衛門の声は次々と着弾する火箭(ロケット)にかき消され、手下達の多くはダンジョン影響圏に足を踏み入れてしまう。たちまちダンジョンが牙を剥き、配下達は大地に呑み込まれてゆく。



【塚原の町】


「狂犬隊、出陣! 逃げた敵を追跡する。」

 ライフルを背負った犬獣人達が、火箭(ロケット)から逃れた手下達を四足歩行で追いかける。

「おいこら待て!」

「止まれ。と言って止まる敵は居ない。」

 海賊は背中を向けて逃げてゆく。

「いつも後ろから撃つのが図書館都市ダンジョンの習慣です。どうぞ。」

 マリーから通信が入る。ダンジョン外で死なせてしまったら生命エネルギーは無駄になるが仕方ないため、狂犬隊は距離が縮んだら銃を構え背中から撃つ。運良く敵が負傷していたら捕獲。



【第三層群屋上展望台・世界樹】


「はい、日本駄右衛門配下ご一行、退治完了♪ 今週の悪役、退場ですね。良い子の皆さん、来週も見てくれるかな♪」

 追い立てられ、ダンジョン影響圏に足を踏み入れた手下達を殺害(餓鬼は生き埋めでは死なないため捕獲)し、ご機嫌なマリー。たまにあることだが、明らかに言動がおかしくなっている。火箭(ロケット)の破片で負傷した日本駄右衛門も捕虜となった。

「マスター、日本駄右衛門に逃げられなくて良かったですね。」

「マリーさん、逃げられたらどうしていました。」

「人相書(指名手配)に写真を載せます。遠方に逃げたらどうしようもありませんが、この付近には戻ってこられないでしょう。」

 この世界の普通の人相書は文字のみ。時代劇では無いので、写真はもちろん絵も載っていない。

「さすがに、身軽な鹿獣人は犬では追いきれないか。また逃げられた。」

「単純な速度では犬より鹿の方が脚が速いですからね。逃げられるのも仕方ありません。猪獣人や熊獣人なら距離があれば追いつくことが出来ます。ただ、今回は居ませんでしたが、熊獣人は頑丈なので軍用ライフルでは厳しく、火豚隊に重火器を配備し援護させる必要があるでしょうね。」

12/28(土)~1/5(日)まで、年末年始は毎日更新を予定しています。

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