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036:軍用偵察システムの開発

【コアルーム】


「まず、情報通信システムの軍事利用、偵察と通信。」

館長キャプテン、最初に海賊を見つけなければ話になりません。現在、ダンジョンの『高さ』を見張り台として活用しています。地平線距離は現状60km程度、将来100階を超えてきたら80km程、1000m級になれば100kmを越えるでしょう。」

「十分なのでは?」

「カメラの性能に限界があるため、海賊なのか商人なのか分かりません。現実的には20km程度ですね。はっきりしない場合は、さらに偵察が必要です。」

「そこでドローンか?」

館長キャプテン、もしダンジョンモンスターとして鳥が召喚できるなら、カメラを持たせて偵察させるのが一番良い。というのは分かりますか。」

「鳥か……。」

「もし、運用をダンジョン影響圏内に限定するなら、鳥に限らず、固有法則で無理矢理飛行させたモンスターでもかまいません。飛行可能な天使を召喚して名前を付けたら、言葉も使えますし、いろいろ便利に使えるでしょう。」

 天使は六道の「天道」に属する。なお、マリーは「コストだけ無駄にかかる役立たず」「ろくな死に方をしない(天人五衰)」と言っている。

「影響圏を出たら物理法則に逆らえず墜ちそうだが。」

堕落だらくしたら堕天使ですが、墜落ついらくしたら何天使でしょうか。」

「ペ天使?」

「……。天使はさておき、事実上飛行生物を召喚出来ないこのダンジョンでは、航空偵察は困難です。というわけで側近書記セクレタリー殿は次善の策として馬に固執しているわけですが、ドローンは入手できれば偵察には威力を発揮します。」

「あの羽が4つか5つ付いた機械だったか。」

「それはマルチコプターってタイプですね。マルチコプターは燃費や飛行速度の制約が大きいという問題があります。例えば航続時間30分・最高速度40km/hなら、行動半径は最大10km、実用的には数キロに制限されます。」

「他には?」

「固定翼機、要は無人の飛行機ですが、離着陸に滑走路が必用であり、低速では失速するため偵察用途には制約が生じます。通信衛星がありませんから地平線以遠では通信できませんし、自律制御は手に余るので、あまり長所を生かせません。特に着陸は難易度が高いため、使い捨てにする覚悟が必要です。あと、ティルトローターはヘリコプターと固定翼機を兼ねますが、技術的難易度がかなり高いためかドローンではほとんど見かけません。」

「どれも欠点が目立つな。」

「飛行船は偵察用途には有用なのですが、風に弱い、ヘリウムが無いため水素を使うと引火する、といった欠点があります。このダンジョンの建物内なら火災は起きませんが、室内で使う意味も乏しいですし。」

「最後に、オーニソプターは、ある程度の飛行速度、ホバリング、長い滞空時間を兼ね備えるが、技術的難易度が極めて高い。という問題があります。鳥なら体重キロ単位のものも居ますが、オーニソプターは数百グラムがせいぜいです。さらに、撮影用としては羽ばたくため動揺が大きく姿勢制御にも困難があります。」

「要するに、どいつもこいつも実用性に欠けるため、やはり馬が一番。ということか。」


「残念ながら。ただ、馬は入手困難で未だに1頭も居ませんし、殖やすのも大変ですが、ドローンは作れば良い。というのは強みです。生きていませんから使い潰しても倫理的問題が無い。というのも強みです。」

「で、その本棚に並んでいる空母のプラモデルみたいに分冊百科で入手すると?」

 おなじみ、1/700カサブランカ級護衛空母。

「第一世代は、重さが1.5kgもある上に飛行可能時間が10分しかありませんから、このダンジョンには向きません。でも、ドローンの分冊百科自体はいろいろありますから、新型の物を取り寄せれば、馬には劣ると言え役には立つでしょう。と、いうわけで試作機を用意しました。」


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