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357:漸減邀撃作戦(日本駄右衛門)

【猫啼温泉】


 図書館都市ダンジョンが時間を掛けて道路をきちんと舗装するのをやめ、重機を並べて整地しながらの進軍を始めた。との報は、すぐに猫啼温泉へ伝わった。

「いくら左遷城から15里(60km)もあるといっても、1日10町(1.1km)進軍されたら50日しか無いニャ。もっと速ければさらに時間は無いニャ。」

 古代ローマはアッピア街道の最初の200kmをわずか1~2年で開通させた。いくら重機を作ったとは言え図書館都市ダンジョンにそこまでの工事能力は無いが、作業道を作るだけなら仕事は早い。

「毎夜、夜陰に乗じて軽く攻撃をして、時間を掛けて可能な限りの損害を与え、連中が猫啼温泉に近づいたところで決戦を挑む。というのはどうか。」

 日本駄右衛門は提案する。

「難しいニャ。相手の兎は訓練された本職の軍人ニャ。陣に居ても油断は期待できないニャ。補給を断つにも小荷駄も鉄砲を積んだ勝手に動く車を使っているニャ。」

 図書館の公用車にはアメリカ製ピックアップトラックは非常に少ない。なにしろ本を移動させるには向かないため。という問題はあるものの、様々な異世界からかき集めた車両に鉄砲を据え付け「テクニカル」に改造、輸送兼護衛に使用している。世界によっては公用車はほぼ国産車だが、マリーは日本車は性能が今ひとつと思っているため避けている。

「なら、海賊は海賊らしく、その車を奪ったらどうだろうか。」

「どうやって動かすニャ。」

「勝手に動くということは、誰かが動かしている訳では無い。か。まてよ、あれもダンジョンの怪物では無いか。」

「普通の怪物はダンジョンから出ることは出来ないニャ。我輩も同じだけどニャ。」

 名前付き(ネームド)モンスターか名前有り一般(ネームドモブ)モンスター。数は少なく、最大規模のダンジョンでも100を越えることはまず無い。

「つまり、からくり人形の一種か。面妖な。はるか西にはそういう物があると聞いたことがある。確か極道だったか……そうだ鉄道だ。」

「我輩は鉄道を見たことは無いけど、おそらく、似たようなものニャ。」

 捨猫(すてねこ)は猫啼温泉を出ることが出来ないため、外のことは伝聞でしか知らない。


「毎晩寝かさないように騒ぎ立てて……。」

「音が聞こえるほど近づいたら鉄砲で撃たれるニャ。」

 この世界の火縄銃の有効射程は100~200m程度。対してウサギ(USA G.I.)は原始的とはいえライフルで武装しており有効射程は400mを越える。

「事前に忍びの埋火(うずめび)を埋めておいて……。」

「火縄の長さには限界があるし、そもそも火薬が無いニャ。ウサギ(USA G.I.)と戦うのはやめた方が良いニャ。有利な内に降伏勧告すべきニャ。」


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