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350:複数道路を同時建設

【第三層群屋上展望台・世界樹】


「マスター、鉄の供給源を確保したため、鉄筋コンクリートを十分に使用可能になりました。これで、涸れ谷を橋で越えることが可能です。」

 マリーがダンジョン影響圏周辺の地図に印を付けながら言う。

「左遷城と身終(みのおわり)と、どちらを優先するか。」

「全部並行作業です。道路工事は、桜草(ファミリー)、秩父岩桜のプリムラ・レイニー・横瀬さくら、に加え、吸葛(ファミリー)岩衝羽根空木のザベリア・インテグリフォリア・青倉関平、金鳳花(ファミリー)節分草のエランティス・ピンナッティフィダ・堂上(どうじょう)こもり、樺木(ファミリー)秩父峯榛のベツラ・チチブエンシス・白岩霧藻の3名を追加し、4組体制で進めます。」

 マリーは茎が四角い紫蘇(ファミリー)のためか物事を4単位で揃える癖がある。

「よく4組も用意出来たな。」

「元々石灰岩の扱いに慣れていた修羅達なので、コンクリートの扱いもすぐに覚えてくれました。」

 好石灰植物とか石灰岩植物とか言う。

「左遷城と身終(みのおわり)方面で2組なら、残りの2組は何をするんだ。」

「関八州各国と(ゆず)出湯(いゆ)はダンジョン影響圏の端から国府まで近いため、分担してさっさと道路を作ってしまいます。その後で、真北の(あう)、北北西の(こし)、南東の(たぬき)などにも道路を作ります。まだまだ時間は必要ですし、自動車の数を揃えるのも大変ですが。」


「相変わらず大型トレーラーは作ることが出来ない。と。」

大型トレーラー(ビッグリグ)は図書館の備品にありませんからね。はっきり言って、今の生産力と技術力では、道路と自動車より、いっそ鉄道の方が早く作ることが出来て、ダンジョンエネルギーの消費も1~2割で済むくらいです。異世界日本でも貨物鉄道の全廃は1984年、省線全線廃線は1987年と20世紀の終わり頃ですし、技術と外貨または生産力が不十分な場合は鉄道の方が得になります。かといって将来確実に不要になると分かっている物に投資するのは無駄ですから、わたしは鉄道は作らない方針です。住民の誰かが自分たちで資金を集めて。というなら禁止まではしませんが。」

「エネルギー的に自動車を維持出来るか。が問題にならないか。」

「確かに、大量の自動車を複製召喚し、それらを電気で動かし、その電力を全てダンジョンで賄うなら、おそらくエネルギー収支が合いません。自動車自体を工場で生産し、電気は原子炉、炭化水素は藻から抽出して補う必要があります。油田ダンジョンでもあれば炭化水素燃料は確保出来るでしょうが、異世界日本は石油が乏しい国ですからね。それに、樺太にせよ台湾の苗栗出鉱坑にせよ、仮に油田があるとしても遠すぎます。」

「大型の自動車にせよ飛行機にせよ、今入手出来ないのなら、今は無い訳だ。」

「飛行機の製造には何年も必要でしょうね。異世界の小笠原アルバトロス(阿呆鳥)並の安全性が確保されないと安心出来ません。一方『航空技術の最先端に位置する』なんて言っていた会社は事故を起こして酷いことになりました。」

「まぁ、重力に逆らって飛んでいるからな。」

「さすがに、アメリカのテトラスターやフランスのジュピテールみたいな超大型機は使いどころが乏しいでしょうから考えていません。全翼機のケツァルコアトルス? あれは完全に創業者の趣味でしょう。ナローボディ機、別にアメリカのCV1100やディスター、フランスのヴェニュス、イギリスの4-11でも良いのですが、日本製の方が資料が集まりやすいので小笠原アルバトロス(阿呆鳥)の製造を考えています。」


「それこそ、当面は電車で良いだろう。」

「鉄道も鉄道で問題があります。召喚可能な図書館の備品に電車はほとんどありませんし、有っても酷く時代後れです。例えばミントが探してきた『新幹線』は、いくつかの世界で多摩県昭島市と大阪市吹田区の図書館に1両づつありますが100年前の物で、さすがに技術的に古すぎます。なにしろ『新幹線』なんて、初代アルバトロス(阿呆鳥)と同時期のものです。」

 マリーが知識を持つ異世界には新幹線は存在せず、20世紀末の1984年に鉄道貨物全廃、1987年に省線全線廃線となっているが、異なる歴史の異世界もある。

「国か自治体の産業博物館で図書室があれば『図書館類縁機関』で入手可能ではあるが、どうしても古い物になるな。」

「アメリカ製の新型通勤電車なんて当然博物館にはありませんからね。一番手っ取り早いのは、まず車体に関してはダンジョン構造物で成形してから解除することです。利点としてはステンレスでモノコック工法が可能。ということですね。さすがに今の複合材に比べれば性能は劣りますが。機械に関しては、今の鉄道用モーターは入手出来ませんから、旧世代の初期型超伝導モーターでも複製召喚するか、自動車用を転用するしか無いでしょうが。」


「それで、結論としては、道路と鉄道とどっちから作るか。」

「作るのは道路だけですね。すぐに鉄道が必要になるほど貨物が増えることは無いでしょう。出来れば作らずに済ませることが出来れば良いのですが。ただ、身終(みのおわり)の先には商都梅田もありますから、鉄道も考慮に値します。ダンジョンとして奨励はしないけど、別に禁止もしない。といったところでしょう。」

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