表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
328/551

328:戦車?

【第三層群屋上庭園】


「トラクターが製造出来ると言うことは、戦車も製造できる。ということですね。」

「いや、さすがにそう単純なものでは無いだろう。そもそも作っているメーカーが全く違う。」

「古代にはトラクターと戦車とついでに建設機械は分化していませんでしたから、それこそ、槍や火縄銃に耐えられる程度の装甲を施したオフロード用の装甲車を作って、機関銃で武装したウサギ(USA G.I.)を乗せれば、日本駄右衛門などの海賊を退治できると思われます。」

 古代では無く20世紀前半、たかだか150年前の話。ついでにマリーが想定しているのは装甲兵員輸送車であり戦車では無い。

「マリーさん、ダンジョン構造物で作ってから解除した、ただの鋼板でも厚ければ火縄銃には耐えられるだろうけど、機関銃は手に余る。」

「確かに、図書館。という制約により、鉄砲の詳細な製造方法は入手困難ですからね。ただ、当面必要なのは世界大戦、いえ、それ以前の前世紀初め程度の機関銃ですから。海賊にはそれで十分です。」

「これまで試作すら出来ていないのは、やはり難があるからでは。」

「そもそも、プレス機が無いと銃も弾薬も生産出来ませんから、機械の開発待ちでした。特にプレス機は間違えると人をプレスしてしまいますから、システム的な安全対策も必要で機構が複雑化します。」

「操作するのが名前付き(ネームド)名前有り一般(ネームドモブ)だけ。って訳にも行かないな。」

「確かに眷属は死亡しても復活可能ですが、膨大なダンジョンエネルギーを使いますから、それも出来れば避けて欲しいものです。」


「で、鉄砲は生産可能なのか。」

「既に有る工作機械で、理論上は製造は可能ですが、今の工作精度では銃身も弾薬も量産は困難です。もっと原始的な銃なら量産可能ですが、それでは、この世界にも存在する火縄銃や大筒と同程度の性能しか無い上に高く付きますから無意味ですからね。」



【第三層群・管制室】


側近書記セクレタリー殿、日本駄右衛門がダンジョン影響圏外に居る以上、戦車と機関銃を用意しても討伐は困難だ。特に岩山の洞窟などに逃げられたら手が出ない。」

「ミント、海賊が居て実害も出ているのに、放置というのも無責任です。本来は左遷城が解決すべき問題ですが、放置している上に懲罰的転封も無いとなれば、わたしが討伐するのも仕方のないことです。」

「本音は、那須塩原(なすえんげん)に生贄を出したくない。だな。」

「否定はしません。住民の犯罪者を生贄にするのは残酷すぎる可能性があります。海賊なら人権は無いので問題ありませんが、海賊はこのダンジョンに寄りつきませんから、船1隻に1人の生贄など調達困難です。」

 ごく断片的な統計によると、異世界江戸時代の江戸・大坂では、死刑は年間にざっくり人口1万人に1件程度とかなり多い。これに対し図書館都市ダンジョンは常時監視可能なためかなり治安が良いが、凶悪犯罪は少ないとは言え遺伝・環境の影響も強いため監視のみでの完全な抑止は出来ていない。

 とはいえ、首斬りには高い技量を要するため基本的な死刑方法はギロチンであり、どう殺されるのか分からない那須塩原(なすえんげん)への生贄など法規に規定されていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ