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032:第五・第六層群

 足立あだちは、低地と、高さ10m程度の低い台地からなる不毛の荒野である。北西から南東に延びる台地に乗った、高さ100m余り、直径2km程度の丘の上に図書館ダンジョンはある。6層群44階、丘を含め高さ約300m。

 この世界が平面または地球サイズ以上の球体ならば、理論上は屋上から西約60kmの霞ヶ関(かすみがせき)にある入間いるま代官所まで見える計算だが、監視カメラの性能の問題もあり現実にはそこまで遠くは見えない。(もちろん、この地域にメートル法は存在しない)



【コアルーム】


「マリーさん、層群2つ一挙に追加出来たのは、いったい何だったんでしょうね。」

「良くは分からないですが、『ダンジョン内の同時滞在冒険者数』が100人と1000人を超えた、とか、冒険者の健康状態を含む能力とか、そういった指標があるようです。あくまでもダンジョンエネルギーの一時所得ボーナスであって、継続して入手できるものではありませんが。」

「次は1万人?」

「おそらく。ただ、滞在人数1万人なんて想定していない可能性もありますね。人間牧場ならともかく、普通のダンジョンに同時に1万人居るってことは無さそうですし。」

 第六層群は、西日本にある某特別市の中央図書館で、東西90m南北70m・地上6階地下6階・延床面積34,000㎡という大型の建物である。その下、既存第四層群の上に載っている第五層群は、異世界では第六層群の東方10kmにある隣県の県立図書館で、東西90m南北90m・地上4階地下2階・延床面積30,000㎡、第四層群と同じように南東側が欠けた形状。

「入植者の教育を進めているミントさんとサピエン先生とメードさんには感謝しか無い。人手を増やしたいけど、名前無しモンスターでは出来ることに限界があるし、名前付きが増えても面倒見きれないし。」

「マスターの場合、名前を覚えきれない。でしょう。」

「それもあるが。」

「そこで階層組織化、ですね。部下の数の適正数は4~6人だそうです。会議も参加人数が7人を超えると生産性が低下するそうです。ですから、入植者の一部を教育して各紫蘇の配下に付けます。この地域、技術水準は江戸時代並ですが、個人の能力が劣っている訳ではありませんから、1000人も居れば能力がある人も何人かは居るでしょう。」

 この世界ではステータスとか見られない、それ以前に数値化出来ない。あえて無理矢理ざっくり評価するなら、

 マリー:知識AA、知能A、感覚D、器用B、敏捷C、筋力D、持久力A、精神力AA、魔法×、健康AA、運AA、胸AAA。なんて感じで……相当能力高いな、マリー。規格外あるし。

※評価は基本的にA~E。AA「特別に優れている」、AAA「規格外」、F(Failure)「大庭葉蔵(人間失格)」、G「論外」。

「とはいえ、ほとんどの住民が読み書きすら出来ないからなぁ。この世界、江戸時代並みのようだが、それにしては識字率が低すぎる。」

「江戸時代並みと言っても、江戸の識字率はきわめて高かったですが、田舎では半分程度でした。そこから土地が無い農民とか仕事が無い人ばかり集めたらそうなるでしょう。」


「マリーさん、今後の召喚だけど、まず軍人は必須。次に市長もいずれ必要。農業の専門家も欲しい。我輩が名前を覚えられるかは別にして、ダンジョンモンスターの召喚数に上限ってあるのか?」

「特に上限は無いようですけど、このダンジョンの場合、そのうち名前付き(ネームド)は最初2人で、層群数+1。が上限ですね。世の中には上限が増える固有法則もあるかもしれませんが。」

「第六層群まであるから7人か。」

「いえ、第一・第二層群はダンジョン全体から見て相対的に小さいので、端数として一纏めにして6人。あと2人ですね。ごく小さい、それこそ1部屋しか無い層群を大量に作って名前付きモンスターの大群を組織する。なんてことは出来ません。」

「軍隊を作るなら面倒だな。」

「せめて下士官は名前付きでないと戦争は出来ません。そして、外征軍は兵士全員が名前付きでなければダンジョンから出ることすら出来ません。」

「それこそ、何千層群という超巨大ダンジョンが必要になる。と。」

「マスター、層群数が増えると個々の層群の全体に占める割合は減りますから、ある程度は小さな層群同様に扱われ、名前付きの数はさほど増えません。つまり、ダンジョンモンスターできちんとした部隊を編成することは困難です。

 もし、特殊な固有法則を持たないダンジョンが他のダンジョンを征服するなら、固有法則無しでも圧倒的な力を持つモンスターを用意するか、指揮官のみ名前付きモンスターで後はダンジョン産では無い野良の怪物を調教するか、冒険者か傭兵でも雇うか、わたしが思いつかない画期的な手段を使うか。でしょう。」

「仮に征服するとして、ここから一番近いダンジョンは?」

「冒険者の話を聞く限り、生きているかは不明ですが、中山ちゅうざん競馬場ダンジョンが南東方向に10日程度。でも、他国なので交流も乏しく、その手前の国府台こうのだいの町、ふさの国・葛飾かつしかの代官所ですが、ここまでは村一つ無く野宿です。他にもあるとは思われますが。」

「冒険者も知らないような?」

「誰も知らないか、あるいは、冒険者には商人みたいな組合はありませんし、ここに出入りしている冒険者達が知らないだけか。」

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