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310:茄子との交渉決裂

【毛の国・宇都宮城北方・塩谷大宮】


 那須塩原への玄関口となる小倉の西2里、図書館都市ダンジョンと那須塩原(なすえんげん)が接する場所に、塩谷大宮の村が作られている。

「ソラヌム・メロンゲナ・那須右京亮(うきょうのすけ)・千両です。那須大膳大夫(だいぜんのだいぶ)の名代として参った。」

「ロスマリヌス・オフィキナリス・紫蘇図書頭(ずしょのかみ)・マリーです。今回の提案は、今後、図書館都市ダンジョンが奥州と本格的な交易を行い、また移民を受け入れるならば、この場所に港を作り、船を雇うための生贄についてきちんとした取り決めが必要ではないか。というものです。」

「港を作るのは勝手だけど、船に関しては分かりやすく、人数、積荷にかかわらず、船1便につき生贄1匹。と昔から決まっている。」

 そう言うと、千両は煙草を一服。

大膳大夫(だいぜんのだいぶ)どのに確認していただきたいことは2点。まず、例えば船の便数を2倍・3倍に増やしたとき、生贄の必要な人数は2倍・3倍になるのか、逆に便数が半減した場合、生贄の必要数は半分になるのか。ダンジョン自体の維持に毎年数十人必要と聞いていますので、そのような関係にはならないと思われます。」

「う~ん、どうなんだろう。持衰(じさい)はある程度消耗するとは言え使い捨てでは無いし、高速帆船(クリッパー)はダンジョンの機能だけではなく自然の風も併用しているからなぁ。」

「2点目、生贄は人数だけで決めて良いのか。例えば有名な海賊なら得られるダンジョンエネルギーは多く、無名の下っ端なら少ないはずです。」

 実際には知名度は関係無く、生贄そのものの強さや技能などに左右される。

「生贄にしてみないと分からないし、それも数字で出るわけでは無いし、難しいな。」

「以上から、便数と生贄の人数・質に関する詳細な契約を定めて増便、と考えたのですが、いろいろと難しい問題がありますね。増便出来れば、ダンジョンに出入りする人数はその分増えるので、効果はあるのですが。」

「ずっと今のやり方でやってきたからなぁ。変える必要性も無いと思うが。」

「そうですか。今日明日で急ぐことでもありませんので、よろしくご検討下さい。」



【第三層群屋上展望台】


「マスター、那須塩原(なすえんげん)との交渉は上手く行っていません。これは、さっさと日本駄右衛門を討伐して、那須塩原(なすえんげん)を用済みにすることも検討した方が良さそうですね。」

「でも、どうやって捕縛して左遷城に突き出すか。だな。領外だから、勝手に退治してしまう、という訳にも行かない。」

「確かに、正当な理由無くこちらから手を出したら、領主の父島弾正忠への宣戦布告、もし奥州に中央政府があるのなら、そちらとの戦争にもなります。しかし、このダンジョンに外征能力はありません。」

「事実上、奥州が日本駄右衛門の後見状態か。」

「左遷城より向こうの情勢がほとんど分かりませんから、何とも言えません。強行突破して奥州へ使節を送っても良いのですが、こちらの報復手段が全く無い場所への使節派遣は危険があります。」

「完全に地平線の向こうだからなぁ。」

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