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307:改訂第6の自由

【総国境・市川橋】


 市川橋の関所は、(ふさ)国府台(こうのだい)まで1里半も無い。

(ふさ)国主、武田上総介(かずさのすけ)だ。残念ながらごん国主の下総守しもうさのかみ(あわ)を離れることが出来ぬゆえ同席しておらぬ。千葉下総掾(しもうさのじょう)も、千葉城から国府台(こうのだい)まで25里ほどもあり到底1日では移動出来ないため、呼んでおらぬ。」

「千葉城なら、図書館都市ダンジョンの影響圏の端、千葉城の近くまで転送陣を作って、転送陣で移動した方が早いかもしれませんね。」

「ああ、千里を一刻と聞いたが。」

「さすがに、そこまで速くはありません。それに、ダンジョン影響圏内にしか作ることが出来ませんから、使える場所は限られます。」

「それでも、千葉でも飯沼でも(あわ)の観音寺でも、歩いたり馬に乗るよりよっぽど早そうだ。」

 上総介かずさのすけは地図を見ながら言う

「千葉は25里、飯沼は130里、観音寺は街道を行けば300里以上ありますが、どれも近くに図書館都市ダンジョンの影響圏があるため、転送陣を使えば1日かかちませんね。もっとも、影響圏から離れた場所はどうしても数日かかりますが。」

「それでも数日というのは革命的だ。観音寺は歩いたら30日以上かかる。早馬にしても、宿場ごとに馬や馬脚を常駐させる必要があるため(ふさ)の国力では手に負えない上に、4日必要と言う計算だ。」

 馬・馬脚は駆歩(かけあし)の場合、隣の宿場までの10km程を30分程度で移動可能。夜は馬は目が見えるが騎手が見えないため馬脚のみ。異世界江戸時代は馬脚が居ないため、夜は飛脚が提灯を持って走った。


「元々、(あわ)は山を越えた向こうですからね。」

(あわ)を征服したものの観音寺まで300里もあるため、なかなか統治が上手く行かぬ。犬獣人の犬士(けんし)隊や狸獣人の三好(みよし)赤備え(あかぞなえ)の残党も居る。しかも(あわ)自体も東西百里と広い。」

「観音寺から館野まで直線距離は80里ですが、わたしのダンジョン内を経由する400里の方が、確かにずっと早いですね。ただ、異世界では『カボタージュ』と言いまして、自国内相互の輸送は原則として自国にて担うものとされていますが。」

「他国に国内輸送を任せると戦略的に危険。ということだろう。転送陣が使えない場合は何十日もかけて軍勢を移動させるしかないとは言え、普段使えるなら大幅に負担は減る。」

「ただ、金額的には歩いた方がずっと安上がりですが。」


「例えば、(ふさ)北部の結城城は途中の街道自体が砂漠になり、(ひたか)経由でなんとか行き来する状態だった。使者すら気軽に送れなかったが、今は転送陣のおかげで往来は容易だ。時間や手間が節約できる。というのは大きい。飯沼(いいぬま)も、干し魚ではなく生の魚を運ぶことが可能になる。」

「生きた魚、と行かないのが残念ですが。」

「通常のダンジョンの産物は、元から生きてはおらぬからな。」

 極端なことを言うと、通常のダンジョンモンスターは、ダンジョンによって生成された死体がダンジョンの力で動かされている状態。分かりやすく言うと「魂が無い」。

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