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302:埼玉水郷を作ろう

【第三層群屋上展望台】


「マスター、まず、これまでのコアルームは、もう使わないので片付けました。ダンジョンコアは世界樹が取り込みましたので、今後わたしに何かがあっても、修士(マスター)であるミントとキンランも世界樹経由でダンジョンを管理可能です。」

「あ~、去年の冬みたいな事態の再発防止か。」

「はい。あんなことは、もうこりごりです。それと、今後中干しの季節になりますから、見沼の水を受けるため、下流に大規模なダムを増設します。」

「前に言っていた、西の入間川と東の太日川の運河化だな。」

「単一の大型ダムではなく、上流側は既存の見沼と高さを合わせ、下流は既存の村や農地が沈まない高さとします。既存の町を沈めないよう、ダムの位置と高さを調整、府中と国府台と織田城にも連絡しました。」

 マリーがダンジョン付近の地図を示しながら言う。

挿絵(By みてみん)

「他国の町を沈めて戦争を仕掛ける訳では無いからな。」

「それに、単独のダムを作ると沈む面積が大きすぎます。ただし、ダムにより水面に高低差が出来ますので、船を移動させるためのリフトが必要になります。」

「ベトン級は長さ40mくらいだったか。」

「全長40m・幅10mですね。ただ、ベトン級はコンクリート船ではなく、砂をダンジョン構造物にして作りますから、ダンジョン影響圏から出る部分では使用できません。まだ木材の供給も不十分ですから、暫定的に鉄船の併用を検討してみます。」

「鉄か。製鉄所が無いからな。単純にダンジョン構造物として生成して解除する方法だと、性能が悪くなりそうだ。」

「現状では、あくまでも補助的なものと考えています。船に使用できるほど鋼を量産するには、そういうダンジョンを探すという可能性を除けば、やはり製鉄所が必要になってくるでしょう。」

「製鉄所は原子炉を中心に数千人から1万人もの従業員が必要だからなぁ。人口30万のダンジョンには荷が重い。」

「当面は、より原始的な石炭か木炭を使用する方法を考えています。もっとも、それでも相当大規模になりますが、むしろ人口に関しては数年で殖えすぎが問題になってくるでしょう。」

「そんなに増えるか。」

「この付近、板東の余剰人口が推定100万。転送陣があるため遠方からの移住も容易になりましたし、奥州の日本駄右衛門も貧しい移民は襲わないでしょうから、すぐに人口は300~400万程度にはなるでしょう。」

「それはまた大変だな。」

「その後は資源が尽きるまで倍々に増えていきますから、破綻する前に何とかして人口抑制策を確立しないといけません。かといって飢餓と貧困では得られる感情エネルギーが不足して、ダンジョン自体が破綻してしまいます。」

「それこそ運営理念では無いが、人間牧場は住民を良好な状態に保たないといけないからな。」

「20世紀のフランスみたいに、同時代では豊かな社会でありつつ人口抑制に成功した社会を研究し、応用しないといけません。」

 マリーはマルサス・ダーウィン主義。これはマルサスの人口論と社会ダーウィニズムや優生学などを結合し「人種改良を国策に」と主張するもの。

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