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290:埼玉タワー量産型

【ダンジョン影響圏端】


 ダンジョン影響圏外には道路は無いため、車は使用できない。公用車でも土木部門なら四駆EVも使われているが、図書館には無い。

「ここからはダンジョンの外になります。十分に注意してください。」

 越前屋が挨拶する。どこのダンジョンでも無いため、別にモンスターが湧く訳では無いが、海賊がいないとも限らない。


 歩荷(ぼっか)が1人30貫(110kg)程度の荷物を運び、冒険者達が護衛する。この世界、1俵(60kg)担ぐことが出来たら一人前だが、商人の多くはそこまでの筋力は無い。一方、中には商人でありながら、とんでもないマッチョも居る……。



【第三層群・管制室】


「左遷城に近い影響圏の端に電波塔を置き、隊商が左遷城に居る間は連絡を取れるようにした。」

 ミントが説明し、電波塔の頂上からの映像を表示する。隊商は黙々と左遷城に向かっている。実は話しながらかもしれないが、さすがにそれは分からない。

「いわばダンジョン構造物による土管で、中に転送陣(エレベーター)を仕込んである。高さは大型の風力発電機、あるいは埼玉タワー程度で600m。平坦なら半径90km程度を見ることが出来るが、当然地形に大きく左右される。」

「ああ、マリーさんが言っていた、埼玉タワーか。」

「ただ、形はだいぶ違う。館長キャプテン殿、気球はもちろん、ドローンも滞空時間の制約があるため、何時間も監視するには塔を建てる方が早い。」

「でも、ダンジョン影響圏外は見ることしか出来ないのでは。」

「観察だけだ。塔に大砲を設置することも可能だろうけど、そもそも大砲が無い。戦艦の主砲なら30km以上届くが……。」

 もちろん、図書館の備品に大砲は無い。

「マリーさんなら『砲兵工廠ダンジョンがあれば』とか言いそうだが。」

「仮にあったとしても、ずっと遠くだろう。そして、遠方のダンジョンへ行くにも、転送陣はダンジョン影響圏外では使用できず、自動車は充電や給油の問題が生じ、新幹線すらあまり遠くには電気を送ることが出来ない。」

「ああ、電気抵抗か。」

「ダンジョン影響圏内なら転送陣を使用し電気を送ることが出来るが、ダンジョン外では超伝導送電線が必要で、超伝導素材の製造には極めて高度な材料工学が必要になる。銅線なら図書館の備品等に含まれる銅からダンジョン構造物として作成し、それを解除することで生産可能だが、超伝導線は組成が複雑なのでダンジョン構造物として精製出来ない。」

 もちろん、液体ヘリウムで冷やせば、単体の元素で超伝導になるものはあるが、実用的では無い。

「ままならぬな。とはいえ、自衛用に何らかの攻撃手段は欲しいところだ。」

「手間暇とダンジョンエネルギーを度外視すれば、ドローンによる自爆攻撃も可能だが、推奨は出来ない。今あるのは火箭(ロケット)くらいか。射程はせいぜい2~3kmで命中精度は論外だが。」

 ベトン級戦艦の主武装で、鉄パイプと肥料により生産される。ダンジョン構造物である艦内では引火しないため安全で、甲板に設置して点火する。

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