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288:飛行機もトレーラーも電車すらも10年後

【第三層群・管制室】


「それで、側近書記セクレタリー殿、片道1,000kmという距離を前提とするなら、途中で給油や充電をするより、鉱山のトロリートラックのように、道路上ではダンジョンコアより架線によって給電する方が効率的となる。また走行距離1,000kmともなると、タイヤは鉄車輪よりエネルギー効率が悪いという欠点も目立ってくる。」

「それでは電車じゃないですか。」

「日本は面積50万k㎡と狭く、主要7島(面積上位6島と11位の沖縄島)や離島を結ぶ内航海運が発達し、前橋や高崎でも海から100kmかそこらなので、鉄道貨物は不要だが、このダンジョンは影響圏が半径1,000kmに達し通常のトラックの『航続距離』を越えており、鉄道を使うか、それこそ長距離輸送前提に設計されたアメリカ製大型トレーラー(ビッグリグ)でないと無理が出てくる。」

「無い物ねだりしても仕方ありませんね。」

 異世界日本に鉄道貨物は無いため、機関車という発想は出てこないマリー。


「なら、転送陣のエネルギー効率が悪いのは、個々の籠が小さく、空気抵抗など無駄が多い。というのもありますから、地上専用に旅客機の胴体くらいに細長い籠を用意すれば効率は良くなるでしょうか。」

「転送陣の仕様により幅は3m程度で、旅客機はサイズが合わない。ジュピテールの幅7mは論外だが、一般的なナローボディ旅客機、ヴェニュスなどや国産のアルバトロスでも4m程度あるので収まらない。リージョナルジェット、小笠原のは爆轟回転(回転デトネーション)発動機(エンジン)でジェットエンジンでは無いが、そのクラスがせいぜいだ。そして、その規模だと輸送力も少なく、十分な荷物も積めない。」

「結局解決できませんね。できるだけ急いで、大型トレーラーと旅客機を生産しなければなりません。ミント、5年で可能でしょうか。」

「10年程度は見た方が良いだろう。」

「10年か……。それまでは手持ちの自動車でなんとかするしかありませんね。」

「あるいは新幹線。このダンジョンは、明確な中心がある構造なので、鉄道に向いてるかもしれない。」

「でも、ダンジョンで複製召喚可能な新幹線は前世紀の遺物ですからね。速度だって転送陣の半分ですし。」

「かといって、最新のアメリカ製通勤電車と同等の物を作るとなると、やはり産業基盤の整備が不可欠で、10年は必要だろう。それに、エネルギー効率は良いが、速さは新幹線よりは遅くなる。なにしろ新幹線は正常な技術の進歩から逸脱している。」

「……一部の世界の特化した技術を入手して組み合わせていく。というのも良いかも知れませんね。世界により発展状況は違います。日本語が使われていない世界の本は召喚出来ない。という制約がありますが、日本語圏の図書館の蔵書なら洋書も入手可能です。」

「英語以外は、読むことが出来るか。という問題はある。」

「わたしは中国語とフランス語も一般教養水準とはいえ一応は読むことは出来ますから、世界樹にデータを流し込めば解読は出来ます。大抵の異世界なら、それで十分でしょう。」

「国際共通語がそれ以外の可能性がある異世界となると……。」

「さすがに労農ロシアが欧米を圧倒するのは無理でしょうから、ラテン語が共通語として普及するか、イスラーム圏が西欧より先に産業革命を起こすか、ドイツが世界大戦を避けて上手く技術で影響力を増すか。考えても仕方ありません。」

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