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283:御禁制の品

【第三層群屋上展望台】


「え~と、松永隠岐守殿からの書状と、どれどれ……左遷城は少量とは言え、御禁制の品を販売することが可能です。……ですか。」

「禁制品か。」

「生薬・香木・鼈甲・朱・阿片……。多くは特に禁止すべき対象では無さそうです。阿片は統制が必要ですが。」

 異世界で鼈甲が禁輸なのは単に環境問題と国内養殖業者の保護であり、ダンジョンの産物には関係無い。

「禁制と言うからには、誰かが禁止したんだろうが。禁止する必要が無い物も含まれているようだが。」

「さぁ。左遷城自体が200年前に破綻した廃ダンジョンに関係しますから、おそらくそのあたりでしょう。ただ、阿片の他にも何か危険な物が無いとは限りませんから、関所で全数検査が必要ですね。その旨を伝えた上で、漢方薬などは、一部を除きこのダンジョンでは基本的には禁制にする必要はありませんから、商人の皆さんに伝えて良いでしょう。」

「漢方薬は当面役に立つだろうな。さすがに製薬工場は時間が掛かるだろうし。で、一部、とは?」

「有名な所では冶葛(やかつ)、猛毒で、異世界の正倉院にも納められていましたが、大部分は既に使われています。手紙の『生薬』に一覧は無いので、毒が混じっていないか、個別の確認が必要です。」

「どこから入手しているんだろうか。」

「おそらく、どこかに、これらを産するダンジョンがあるのでしょう。こちらで安定した需要を作ってやり、冒険者が多数出入りするなら、ダンジョンが成長して漢方薬の生産量も増えるでしょうね。」


「漢方薬は栽培は出来ないのか?」

「生きた状態で入手出来れば理論上は可能ですが、栽培自体が困難だったり、薬効成分が乏しかったり、なかなか上手く行かないそうです。幸い、このダンジョンは影響圏が南北に2,000kmもあり環境も多彩ですから、ある程度は栽培可能かとは思われます。もっとも、異世界日本は東西・南北とも5,000kmと範囲だけはさらに広いですが。」

 面積は50万k㎡でフランスやスペインより狭い。

「産出するダンジョンを突き止めて、苗を持ちかえれば良いわけだな。」

「いえ、ダンジョンにはあまり期待できません。ダンジョンの動植物は大抵はモンスターで、『生きて』はいませんから、ダンジョン外で殖やすことはできません。分かっている限りでは丹沢ヒルズだけが例外ですね。」

「だから丹沢ヒルズが重要なのか。」


「雑誌の付録に無い植物は異世界から入手も出来ません。特に漢方は薬なので、そのものを付録に付けるのは法律上の問題があります。ですから、基本的にはこの世界にあるものを探しだし、殖やす必要があります。」

「薬以外は基本的に嗜好品というか、贅沢品だな。」

「問題が生じたなら、個別に規制すれば良いですが、少なくとも那須塩原(なすえんげん)経由で情報が何も無いということは、量はごく少ないと思われます。」

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