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282:奥州の特産品(悲しい現実)

【ダンジョン影響圏端】


「お疲れ様でした。報告は転送陣の中で聞きます。ゆっくり休んで下さい。」

 影響圏の端まで帰ってきた使節団にコアルームからマリーが声を掛ける。

「左遷城は基本的にあらゆる商品が不足しています。特に足りないのは食料・薬・衣類などの日用品です。」

 岸晴保が報告する。なぜか全身砂まみれ。

「何もかも不足……ですか。奥州全体が同様でしょうか。」

「そこまでは断定できません。ただ、左遷城の北城、父島弾正忠様が管轄する北の白河方面に『日本駄右衛門』という海賊が湧くため、白河との交易が滞っているそうです。」

 実態は山賊だが、この地域では一般に海賊と自称する。

弾正だんじょうが海賊を野放しですか。いずれ海賊退治が必要ですが、残念ながらダンジョン影響圏外では容易ではありませんね。」

 ダンジョンは守りには強いが、外征は苦手。ダンジョンモンスターの多くはダンジョンを出ることは出来ず、出たところでダンジョンの力は得られない。例えば、飛べないどころか自重で潰れるドラゴンなど何の役にも立たない。

「騎兵隊を編成できれば良いのです。」

 先ほどから黙っていた栃栗毛の馬脚、カスミが言う。

「残念ながら、騎兵隊は馬の数が揃わなければ話になりませんが、馬は人間の10倍食べますから、ダンジョン影響圏外では補給の問題がつきまといます。この世界で運用するなら、基本的には機動力を生かした防衛戦力でしょう……。」

図書頭ずしょのかみ様?」

「いえ、何か良い方法は無いか。と。……それで、左遷城側が提供出来る物は何かありそうですか。」

「何も無し。ただ、封をした書状を預かっています。」

 岸晴保が応える。

「それでは交易の意味がありませんね……。」

「松永隠岐守様は、ある程度の銭はあるので、食料が安く入手出来るなら買い取るとは言っていましたが。」

「持続性がありませんね。ただ、わたしが決めることではありませんし、どうするかは商人のみなさんに決めて貰いましょう。」



【コアルーム】


「マスター、あまり期待できませんね。これ。」

「結局、水不足による生産力の不足が問題か。」

「白河方面と交易が出来ない。というのも問題ですね。せっかく那須塩原(なすえんげん)を迂回できるかと思ったのですが。」

「那須塩原には『奥州から何を入手出来るか』の一覧を依頼し、何かで生贄を捕まえたら船を出して貰おう。」

「それこそ、『日本駄右衛門』という歌舞伎に出てきそうな名前の海賊を捕まえることが出来たら一石二鳥なのですが。」

「何かでダンジョン影響圏に呼び込むことが出来れば片付くが。」

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