表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
264/553

264:ふくしまへ行きたしと思へども、ふくしまはあまりに遠し

【第三層群屋上展望台】


「奥州との交易ですが、さすがに車では遠すぎる距離ですし、まだ飛行機もありません。転送陣は少人数を運ぶことしか出来ませんしダンジョン影響圏内でしか使えません。」

「たしか新幹線ってのがあったはずだが。」

「電車だって今の工業力では手に余ります。あくまでもダンジョン構造物を併用してダンジョン影響圏内でだけ使う予定です。それに、さすがに東京から名古屋や大阪へ行くのに電車を使う人は誰も居ませんからね。もしダンジョン影響圏の端まで線路を作ってしまうと将来確実に無駄になります。」

 そもそも中心都市の人口が100~200万人程度なら、十分な道路があれば鉄道は不要なので、図書館都市ダンジョンは原則全ての都市内交通は自動車とする予定。ただ、転送陣は飛行機より遅いとは言え道路や鉄道より早いため、要人移動用に転送陣の整備は進めている。

「それこそ蒸気機関車なら、図書館や公民館にかなり保存されているし、電気も要らないはずだが。」

「蒸気機関車は水の補給が必要で、実は電気自動車より航続距離が短いのです。現状では暫定的に影響圏の端までは転送陣を用意し、そこからは途中で電池を交換しながら自動車。というのが合理的とは思われますが、問題があります。」

「問題?」

「ダンジョン影響圏を大きく外れますから、何かあった時に報復手段がありません。」

「報復が必要なのか?」

「ダンジョンの者に手を出したらきちんと報復する。これを怠るとダンジョンの安全を確保出来ません。もちろん、このダンジョンに住んでいる商人や冒険者が個人的に遠方や他のダンジョンに行って何かあっても自己責任で済ませることが出来ますが、ダンジョンが道路や宿場を影響圏外に作る場合、ダンジョンの指示で外に行く訳ですから、何かあったらきちんと報復する必要があります。」

「道路は必要になるな。確かに。」

「商人達を影響圏の端まで転送陣で送り届け、あとは野宿しながら白河まで行って下さい、では遭難してしまいます。」

「かといって、東北の未知の勢力に備えて何万もの軍隊を用意したら、それこそ近隣諸国と関係が悪化しかねないな。」

「はい。このダンジョンが自衛には強力な力を持つことはみんな知っています。ですから、兵力を増やすのは自衛用とは見なされません。」

「やり過ぎでは無いかとも思うけどな。『鳴かぬなら 埋めてしまおう ほととぎす』とか『逆らえば 女子供も 皆殺し』とか言われているわけで。」

「だからこそ、このダンジョンに攻め込もうなどと考える者は関東甲信越、いえ、この世界の関八州甲科越には居ません。誤ってダンジョン影響圏に足を踏み入れた海賊も捕獲しましたから、もう海賊もほとんど居ないと思われます。」

「それで那須塩原に渡す生贄が居なかった訳か。」

かひしなこしどころか美濃尾張(みのおわり)、さらにその西からも紫蘇(修羅)はこぞって移住して来ていますから、おそらく相当広い範囲に名前は知れていると思います。悪名かもしれませんが。」

 早く寝ないと紫蘇図書頭(ずしょのかみ)が来るよ。とか言われているかもしれない。

「西方の有名ダンジョン、商都梅田や石の神殿アスカにもこちらの存在は知られていると考えるべきか。」

「距離がありすぎて互いに手は出せないとは思うのですが、何か厄介な固有法則でもあると困ります。十分な情報収集と警戒は必要でしょう。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ