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243:攻略対象と交渉対象

【第三層群屋上展望台】


「マスター、小屋の件ですが、修羅は植物の要素が強いですし、この屋上は雨も降らず温度も比較的快適ですから、あえて家を用意する必要はありませんね。」

 マリーはそう言いながら、世界樹に背を預け、ミントが持ってきた本をパラパラと見ている。

「マリーさん、以前は部屋とかベッドとかちゃんと使っていたけど、だんだん植物化していないか。そのうち世界樹と一体化してしまったりして。」

「……その可能性はありますね。案外、それがダンジョンの完成形なのかもしれませんが。そういえば、マスターも部屋に布団敷いています? コタツ置いて中で寝ていたりしませんか。」

「何のかんの言って冬だからな。……あ、我輩も人から離れつつあるのか。ま、ヨシ!」


「今後の方針ですが、確認した限りでは、この付近で最大のダンジョンは那須塩原(なすえんげん)。次いで丹沢ヒルズとなっています。面積なら、この図書館都市ダンジョンが最大となっていますが、何と言ってもまだまだ新興ダンジョンです。」

「確認した限り?」

「こちらのダンジョン影響圏では無い場所にあり、ここからはただの砂漠にしか見えなかったり、地下に埋まっていたりしたら、気付かない可能性もあります。」

「なるほど。で、最大なのは有名な那須塩原か。」

「支配者は那須(なす)大膳大夫(だいぜんのだいぶ)、屋形号を許された名門です。住民は茄子(修羅)で、他の種族には、いわゆる市民権を認めていません。ナス科だけに、おそらくジャガイモやトマトなどは優れた品種を持つと思われますが、木材に関しては期待できません。交渉は可能と思われますので、冒険者にダンジョンの入り口まで書状を届けさせました。まだ返事はありません。」

「入り口?」

「那須塩原は広大な塩の大地で、遭難の危険が高くなっています。彼らは塩の上を航行する船、間違い無く固有法則によるものと思われますが、それを持っており、の国、宇都宮城の北に『港』がありますから、そこに書状を届けています。」

「それで、その港からどこへ行くんだ?」

「ダンジョンの反対にある白河ですね。奥州へ行くなら、その船に乗るか、水の無い砂漠を100里以上横断する必要があります。」

「それだと、ぼったくり放題だな。」

「船は無料です。少なくとも金銭は要求していません。」

「無欲だな。」

「図書館都市ダンジョンみたいに、俸給が発生するような統治機構を持っている訳では無さそうです。その代わり、船を1便出すためには生贄を1人要求しています。」

「宇都宮城から犯罪者が消えそうだ。このダンジョンでも今後死刑囚が出たら、わざわざギロチン作らなくても那須塩原に送れば良いか。」

「彼らが多数の生贄を多数欲しているならそれも手ですね。今後、このダンジョンに攻め込んでくる勢力が居た場合、すぐに殲滅せず生け捕りも考えるべきかもしれません。那須塩原の返答次第ですが。」

「那須塩原は返事待ち。か。」

「はい。一方、丹沢ヒルズはダンジョンマスターが居るのかすら不明です。害虫ダンジョンなので、知性があるマスターが居るとは、あまり期待できませんが、蛭獣人がいないとも限りません。」

「それで、丹沢ヒルズは攻略を前提に計画すると。」

「書状を送ろうにも窓口すらありません。天狗は丹沢に出入りしているので何か知っているかもしれませんが、天狗との接点もありません。ただ、実際の攻略は準備も必要なので当分先ですから、それまでに交渉ルートが見つかれば木材は輸入ということになります。」

「交易が出来るとも限らないけどな。」

「相手が人間なら、大抵は金銭を欲しがるものですが、正体が分かりませんからね。何を欲しがるかも予想出来ません。」

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