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239:ダンジョン影響圏拡張の限界

【第三層群屋上展望台】


「拡張余地の話だが、マリーさん、手動によるダンジョン影響圏の拡張はどこまでだった。」

「ダンジョン影響圏のシステムによる拡張限界は480km、つまり100リーグですが、試験的に限界まで広げてみたところ、手動では視界の限界までと思われます。現時点では950km程度ですね。これ以上に高さを増やした場合でも上限は無いのか、何らかの制限があるのかは不明です。」

「つまり、ダンジョン影響圏の広さは高さで決まる。ということか。」

「おそらく違うと思われます。他の大規模ダンジョン、丹沢ヒルズは長辺300km程度、那須塩原は直径500kmくらいありそうです。丹沢ヒルズは高さ2km無い程度の山ですから高さに見合った広さですが、那須塩原は高さ3kmを越えるようには見えません。」

「実は深さが深いのかもしれないな。最大900kmなら、面積だと従来の3倍くらいか。」

「既存の村やダンジョンがあると止まりますので、そんなには増えません。まとまった土地はひたか方面くらいです。」

「あまり効果は無いか。」

「それでも、高架道路を引くことで、やや遠くの国、相撲すもうあわや関八州周辺のかひしなこしへの移動時間が短縮可能になります。ただ、日本の移動図書館にビッグリグ(大型トレーラー)はありませんし、全部輸入ですから自動車工場ダンジョンがあっても入手できません。」

「自動車は陸軍すら国産車は嫌がっているからな。」

「工業製品は基本的にはアメリカ製が一番です。高いですが。」


「900kmだと、端まで片道8時間か。自動運転で無いと耐えられないな。」

「7~8時間必要ですね。問題は、電気では航続距離が到底足りませんし、トラックなどの重自動車で使用する重油は現状では入手出来ません。単に油田を掘ったり砂漠に塩水を張って藻を増やすだけでは生産出来ず大規模な工場での精製が必要になります。もっとも、電気だって、このダンジョンではなぜか地下から供給されていますが、本来はこの量だと『あみだ(溶融塩冷却高速炉)』とまでは行かなくても『ほうぞう(原型炉)』程度の原子炉が必用になります。」

 異世界では重自動車はディーゼルなので重油(短距離用の路線バスなどは電動)、軽自動車は燃料電池なので軽油(電動も多い)。

「案外、ダンジョンの地下に原子炉が埋まっているかもしれないな。」

「否定は出来ませんね。なお、移動時間だけなら、それこそ、昔検討した、『転送陣』の水平展開が一番早いでしょう。端まで2時間程度で行く事ができます。ただ、所詮はエレベーターなので、輸送力(480人/時)は道路(1,000人/時)の半分、鉄道(3~6万人/時)の1%で、主力にはなり得ません。」

 異世界では第一次世界大戦でドイツが解体されたため、上海リニアは存在しない。リニアモーター式エレベーターは異世界では形状が特殊なビルや一部の大規模ビルで使用されているが、時速400~500km級のエレベーターは異世界にも存在しないため、出自は不明。

「転送陣は、すぐに手に入るのが利点か。」

「はい。ダンジョン自体の機能なので、トラックやバスを入手して改造する必要はありません。輸送力が低くダンジョンエネルギーも非効率というのが欠点ですが。」

「転送陣は地上の乗り物としては最速だったかな。」

「最速クラス。ですね。異世界によっては世界大戦でドイツが解体されず、磁気浮上自動車ならぬ『鉄道』を開発した世界もあります。ただ、それ以上、となると、この図書館で本を入手可能な異世界では、真空チューブ自動車を実用化した世界は知りません。」

「真空チューブなんて、気密シールで悪夢を見る末路しか想像できないな。」

「少人数の人員輸送にしか使えませんから、すぐに必要になるものでもありませんが。……この展望台まで転送陣を増設すれば、わたしも下まで降りることができるのでは?」

「……なぜ気付かなかったんだろうな。」

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