228:第一層群・第二層群・第三層群
【第三層群・管制室】
「この図書館都市ダンジョンは数千の図書館を積み上げてあり、一番上は順に、第三・第二・第一・第36・第37……、となっている。つまり最初から有った第一層群が上から三番目だ。この第一層群の複製元は、埼玉の田舎にある図書館。元々は市の図書館研修センターなので、『最初の』図書館に相応しいのでしょう。」
(これは最初からあった図書館ですね。)
「データによると、規模としては平屋で約500㎡・収容能力8万冊。異世界では1992年開館となる。」
「相当古いな。」
「ダンジョン構造物として複製召喚されるので、強度の点は問題なしです。」
「第二層群は市の図書館。順当な選択だと思います。」
(この段階では選べる図書館は1つだけで、選択肢はありませんでした。)
「それから紫蘇(修羅)を増員。最初にやらされた仕事が、システムの違う第一・第二層群を電子的に接続することでした。」
(誤って違う異世界から召喚してしまったのが原因です。)
「規模は地上4階地下1階で約3,500㎡、収容能力30万冊。1973年開館。4階は塔屋ですから、実質3階建てですが。」
(当初は住宅に使っていましたが、地上から遠すぎ時間がかかるため、今は空いています。高すぎるのも問題ですね。)
「それから、第三層群なのですが、順当に選ぶなら県の図書館となるはずです。しかし、ダンジョンコアにある県立図書館の詳細データは大昔の4館体制時代の物で、新しい図書館は情報がありません。おそらく館長殿が『やらかした』時にデータが飛んでしまったのでしょう。」
「召喚した本には無いのか。」
「もちろん本には載っていますが、ダンジョンコアで情報を検索出来ないので複製召喚できません。」
(単純に最初からコアの情報が古いだけかもしれませんね。)
「それで大学図書館だったな。」
「一般の図書館同様、大学図書館も民間経営の私学は原則召喚対象外のため、召喚候補は制約される。」
民間のホテルやショッピングモール同様、市の図書館の分室があれば私学の建物は召喚可能。
「また、市立図書館は全市民が対象と間口が広いが、大学図書館は基本的に学生教職員用なので召喚コストは一般に割高になる。なお、県立図書館は対象者が県民全員と増えるためか、あまり召喚コストは増えない。公共図書館の召喚コストは、ざっくり、図書館を含む建物全体の床面積に比例する。」
(厳密には、おそらくややこしい計算式でしょうけど、ダンジョンエネルギーの数値化が出来ない以上、詳しくは分かりませんね。)
「大学図書館は、大抵の世界にある大学は召喚しやすい。だったな。」
「大抵の世界にある、基本的な召喚候補は帝大7校・官立大12校・国立女子大2校・公立大2校の23校。このダンジョンと繋がりが深い異世界では帝大が1つ多く現存し、大阪帝大と神戸商大が統合しているが。」
全くの新制大学は「存在しない世界も多い」ため召喚コストが割高になる。
(あと、東京から遠い田舎だと安いとか、帝大はやたら高くて逆に公立は安いとか、いろいろ条件がありましたから当時は選択肢はありませんでした。紫蘇(修羅)の設定上の学歴が後付けで固定される。という副作用を考えたら、疫病の問題が無ければ、もう少し我慢してダンジョンエネルギーを貯めるべきだったかもしれませんが。)
「と、初期はざっとこういうものです。あとは賊や敵軍を倒してダンジョンを拡張。と。」




