225:ファーストモンスター
【第三層群・管制室】
『マスターがファーストモンスターを召喚しました。ナビゲート機能として知性化しますが、初期状態で知性化されているため知性を追加します』
「モンスターの召喚は、『ダンジョン・ワンノーワン』でも最初に行うよう書かれている。このダンジョンの記録ではオリジナルモンスターの設定と同時に側近書記殿を召喚している。」
『ダンジョン・ワンノーワン』のイラストでは、目の付いたペーパクリップを召喚している。
「微妙に腹が立つデザインだな。これ。」
「このようにチュートリアルで簡単な無生物モンスターを召喚した場合でも案内役として最低限の知能と会話能力を持つように設定されていると思われます。」
英語版なので。もっとも、致命的な問題はデザインでは無く貧弱なAIにあった訳で、見た目が孫悟空だろうと同じ事。
(言われてみれば、わたし、あんな物の代替品ってこと……。)
「まず最初はモンスター召喚なんだな。」
(ダンジョン構造物は塔型と洞窟型でも異なりますし、ダンジョンの機能では無くモンスターが直接掘る場合もありますからね。罠だって使わない場合もあるでしょうから。でも、モンスターの全く居ないダンジョンは例外中の例外です。)
図書館都市ダンジョンは多くの人間・修羅・畜生を知行や蔵米で雇用しているが、もちろん紫蘇(修羅)と眷属が居るし、一部の畜生に支給されるネズミもダンジョンモンスター。
「なお、本によると、海賊船ダンジョンではオウムが案内役の事が多いようです。もちろんインコやヨウムだったりもします。ヨウムは簡単な英語を使うことが出来、挨拶程度は可能ですが、さすがにそのままでは案内役には不足でしょう。」
「このダンジョンの案内役は、いったい何だったんだろう。」
(よく図書館の広報誌などにキャラクターが書いてあったりしますが……。むしろマスターがそれに該当するような気がしますが。)
「いろいろな可能性があり得ますが、何とも言えません。」
(極端な例ですが『ダンジョン大百科』には、案内役が子供のヨハネ、副官が大人のヨハネ。という事例の記述がありますが、これは首を斬られた洗礼者ヨハネの頭蓋骨を複数の教会が所蔵している影響でしょう。輪廻転生ではなくモンスター召喚なら、そういうことも可能ですし。)
これが日本に伝わったのが「頼朝公ご幼少のみぎりのしゃれこうべ」というお話。なお、ヨハネの山オランダ語での女性形のさらに短縮形が阪奈になるため、異世界の関西系私鉄「阪奈電鉄」は電車が欧州製ということもありキャラクターに山オランダ人を使っている。




