002:シルバーフィッシュって格好良さそうな名前だな
【コアルーム】
ダンジョンにはモンスターが居るもの。まずはモンスターを召喚しないと話にならない。しかし、いったいどうやってモンスターを召喚するものやら。とりあえず何か甘い物でも食べながら考えるか。冷蔵庫には菓子は無かったから常備はされていないんだろう。
というわけで、金属球からホワイトボードに投影された「menu」という項目を触れてみると、feature、artifact、creatureといった項目が並んで表示された。いったいデザートはどこで注文できるのやら。たしかアーティチョークという不味い野菜があったはずだから2番目は除外。たぶん3番目が「クリーム何とか」で菓子だろう。
「creature」に触れると、お菓子のリストが出てくる。いくら非識字といえども「name」と「cost」くらいは分かる。
先頭は「librarian」。リブラリアン? ライブラリアン? 馬? 確か「ダッチロールの怪物ハネダブライアン」とか居たはず。クリームでは無くクリーチャー、つまり怪物で、これがモンスターリストということか。ハネダブライアンは間違い無く怪物。他にも灰色の怪物オグリタダマサとか居たがリストには見当たらない。
ダンジョンエネルギーの厳密な測定は困難なのか、消費コストはバーの長さと色で単位も無く、具体的な数字では出ていないが、ハネダブライアンがリストで一番高コストなのは間違い無い。なにしろ三冠馬の上に中山グランプリも勝っている。
リストの最後の軽いモンスターには「woodboring beetle」「booklice」「silverfish」というのがある。ウッドボーリングビートルは、木製のカブトムシだろうか。ブックライス……本の米飯? 食用の本だろうか。シルバーフィッシュは名前が格好いい。ただ、必要コストがゼロ同然ということは、怪物の異名を持つとは言え、おそらく弱いモンスターだろう。そういう弱いモンスターをうまく活用できれば有意義だが、何も思いつかない。特にシルバーフィッシュは魚だから水域でないと活躍出来ないが、周辺の荒野には池すら存在しない。怪物の異名を持ちうる安価、つまりおそらくは小型の魚ということで、「ベタ」と思われる。
ハネダブライアンが馬ってことは、それに騎乗する騎手か騎士か何か人間が居るはずだが名前リストでは特定出来ない。騎士は確か「night」だったかな? あるいは個体名で……確か「タケトヨ」とか「イケニエ」とか馬に乗る人間が居たような気がするが、それらしいものは見当たらない。
あと、ここが図書館ってことは蔵書を管理する図書館職員が……あれ、何て言ったっけ? 確か秘書だったか……シソだったか?
このダンジョンが宝物やモンスターを召喚してくる異世界は多数あり、中には北太平洋にバルニバービや補陀落が広がっていたり、動物園に野生絶滅種のステラーカイギュウやオオウミガラスが居たり、二度の世界大戦が不発だったり、いろいろと異なる世界もあるので、固有名詞の違いなど些細なことです。
でも、いわゆるファンタジー系のモンスターやアイテムは、初期状態では一切召喚出来ません。