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012:屋上屋を架す、図書館の上に図書館を載せる

【コアルーム】


「そろそろダンジョンを増設しましょう。わたしの蔵書がコアルームに入りきりませんし、かといって冒険者に渡して焼くのは勿体ないので。」

「マリーさん、そろそろ代官さんが移住者連れてくるんじゃ無いか? 住む場所はあるのか?」

「バックヤードに『閉架式書庫』を持つ図書館を召喚しましょう。」

「陛下式?」

「一般人の立ち入りを禁止している図書室です。普通は貴重な本や利用頻度の高くない本を保管しますが、本が必要とされないこの世界なら私物化しても何も問題ありません。」

「ま、この図書館には我輩とマリーさんしか居ないからな。」

「ダンジョンはゴミを勝手に吸収するので、住民は閲覧室を区切って部屋にすれば十分です。」

 人間には風呂が必要ということを失念しているダンジョンマスターとマリー。マリーは水シャワーは使うが。


「ダンジョンの上に第二層群を増設します。」

「横じゃ無くて上なのか?」

「世界のコアから獲得されるエネルギーは、地下型ダンジョンなら深さ、塔型ダンジョンなら高さで決まりますが、要は高低差が大きければ良いのです。個々の建物、つまり層群(group)を上下に重ね、屋上に世界樹を植えることで獲得エネルギーを最大化します。」

 マリーは台車に乗せた世界樹の鉢植えを持ってきた。ローズマリーにしては成長が早い気がする。

「ダンジョンの影響圏というか勢力圏というか、要は敷地ですが、それも高低差が大きければ拡張は容易です。」

 広大な地上型ダンジョンは、そういう面では無駄が多い。



【第二層群屋上】


 第一層群(group)は平屋で緩傾斜の屋根がある建物だったが、第二層群(group)は地上四階地下一階の建物で陸屋根。建物を支える細い柱はダンジョン構造物なので破壊されず、層群(group)間にも階段が設置されており一階から実質六階まで速やかに移動可能。二階、つまり第二層群地下はマリー専用書庫で、三階以上は住居用。

「見晴らしが良いですね。丘の上の展望台って感じで。」

「ずっと向こうまで見えるな。代官が居る村はどっちだ?」

「さぁ……どこまでも何も無い荒野ですね。もっと増築すれば商都梅田まで見えるでしょうか。世界が平板か球体かで違ってきますが。」

 マリーは屋上中央に設置された大型の植木鉢、というか植栽スペースにローズマリーを植え付ける。

「マリーさん、その巨大植木鉢、運べるのか?」

「ダンジョンの組み替え機能を使えば問題ありませんよ。ここに野菜のプランターを並べて、種取り寄せていろいろ植えて……球根とか種芋とか付録に付いた本は無いのかな。あるいは学習教材の栽培キットあたりは召喚可能なのでしょうか?」

「もし、農場ダンジョンとかあれば取引可能かな?」

「難しいでしょうね。この世界『知識』に価値がありませんから、農業書とか論文とか召喚して提供する訳にもいきませんし。それに世界がこの状況では、農場はあまり無さそうです。」

「先は長いな。」

「図書館も増築しましたし、運営を手伝う図書館職員を2~3名……。」

「キャロルカイチョウとかコチョウランとかネトルプリマドンナとかは召喚出来ないぞ。」

「胡蝶蘭は蘭ファミリー、自称『高等種族』ですから、仮に将来紫蘇以外の修羅を召喚可能になっても、召喚出来ないでしょうね。」

「蘭ファミリー?」

「修羅なのに巨大な『オルキス』が特徴ですから見たら分かります。他に偉そうにしているのが、自称『最も進化し、最も分化している一族』の菊ファミリーとか。紫蘇ファミリーはそれなりに多い。ってあたりですね。まぁ、修羅を全部合わせても、畜生の34億種類とは桁が4つ違いますが。」

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