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104:第八の紫蘇召喚

【コアルーム】


 スカーレットとキンランはコアルームを退出。

「さて、8人目と行くか。工学部が重複するなら、薬剤師を召喚してサピエン先生を補助するとしよう。シソ科で薬草となると……。」

「マスター、あくまでも過去のパターンから見た個人的な予感ですが、次は薬学部では無く文学部ではないかと……。マスターは別にして紫蘇(修羅)の8人目となりますが、過去7人に居ない学部、さらに紫蘇(修羅)の召喚コストが妙に低いということは……。」

「召喚コスト?」

「ダンジョンモンスターの召喚コストは概ね能力と希少性に比例して高くなります。例外はありますが。」

「小説でよくある、スライムは安くてドラゴンは高いと言うアレか。」

「ダンジョン大百科によると、能力の高いモンスターは召喚に多くのダンジョンエネルギーが必要で、さらに居るだけで食料以外にダンジョンエネルギーを消費します。分かりやすく言うと人件費がかさむ。ということです。」

「特にダンジョンエネルギーが減っている様子は無いよな。」

「紫蘇(修羅)って、自分で言うのも何ですが、かなり能力が高い種族ですから、人件費は高くなり、本来7人も8人もポンポン召喚できるようなモンスターではありません。」

「このダンジョン、そもそも紫蘇(修羅)の他は、虫や小動物しか召喚出来ないから仕方ないが。」

「会社で言うなら、管理職は雇えるけどアルバイトが雇えない。という状態ですから、これも何らかの不具合でしょうね。おそらく、当初召喚可能だったミノタウロスやミノワッカ(ミノタウロスの牝、ワッカは牝牛)なら、神話で有名なアステリオス(個体名)ではなく、司書だったり警備員だったり、普通の牛頭を雇うことが出来たのでしょう。」

 そんなことはない。ちなみにラテン語表記で揃えるならミノタウルスの方が近く、ギリシャ語風なら牝はミノブースになるが、去勢牛のミノボース(ボースはラテン語で去勢牛)と紛らわしくなるためか、牛娘をブス呼びはあんまりなのか、その辺は雑になっている。


「召喚してみれば分かる。次は薬草で……タイムで行くかな。」

「タイム、すなわちタチジャコウソウ、ティムス・ウルガリスですね。」

 召喚された紫蘇(修羅)は、緑がかった金属光沢(構造色)の黒に近い濃い緑髪、目は薄い桃色がかった黒。外見は小柄な女性。

「タイムと言います。何なりとご命令を。」

 召喚時点では名前無しなので、感情のない挨拶。

「さて、名前だな。タチジャコウソウ、百里香ひゃくりこう、語源は……不明か。いっそラテン語のティムスで行くかな。」

「ラテン語のティムスは男性名詞ですから、外見と合いませんね。イタリア語でもポルトガル語でもタイムは男性名詞になります。」

「紫蘇(修羅)は基本的に性別は無いんだし、これまでも適当だし、構わないといえば構わないが。」

「フランス語でもタイム(le thym)は男性名詞ですが、タチジャコウソウには南フランスではファリゴールという女性名詞の呼び方もありますから、これを使うとか。一般にはタイムを漬け込んだリキュールを指しますが。」

 フランス語ではローズマリーやバジルも男性名詞、ラベンダー・ミント・セージは女性名詞。なお、これらの植物は全部雌雄同体。

「そうしよう。タイムと命名して追加召喚出来なくなったら将来的に困るし。」

「その制約も、名前付き(ネームド)モンスターだけですけどね。ダンジョンモンスターで無いなら、犬にイヌって名前を付けても何も起きませんし、人間にトラとかクマって名前を付けても問題は起きません。」


 ダンジョンコアが

「マスターがモンスターをネームドに設定しました。モンスター『タイム』の個体名を『ファリゴール』に設定します。」

 と告げる。

「ファリゴールさんは薬学部ですか、文学部ですか。」

 ダンジョンマスターが聞く。

「……あの。文学部ですが。」

「マリーさんが正しかったな。でも、いよいよ本物の司書が召喚出来たかも。」

「すみません。学芸員は資格だけは持っていますが、司書は大学に課程自体が無い設定ですので。」

「司書は後で考えよう。学芸員の資格があれば問題無い。現実問題、このダンジョンはかなり無資格活動が多いという実態はあるが。とはいえ、現時点ではダンジョン影響圏内の整備を進めて欲しい。」

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