転生吸血姫の誕生
『妾が連れて行ってやろう』
***
「はぁ~、さすがエル様!!カッコいい!!もし生まれ変わったら絶対エル様がいい!」
「ちょっと美琴?おとなしくしてないとまた調子悪くなるよ」
「大丈夫だって~ゴホッ、ゴホッ」
「ほら、言ったじゃない、もう」
「あはは、じゃあさなんか買ってきてよ、おねがーい」
「あははじゃないのよ、まったく人使いが荒いんだから…」
これが彼女との最後の会話だった
***
(…あれ、ここは…体が、無い?)
見回すと、あたり一面花に溢れており、青空が広がりまぶしい太陽が輝いていた。
『起きたようですね?』
(ん?誰…この人…それにここはどこ?)
そこにはこの世のものとは思えないほどの美貌を持ち、神々しさを感じさせる美女がいた。
『ふふふ、一之瀬美琴さん、私はいわゆる女神といわれるものです、そしてここは私の女神領域という場所よ』
(女神…サマ?)
『はいそうですよ!女神ですよ!』
(…なんで女神さまが私の前に?もしかして…はっ、そういえばあの後大きな地震が起きて…まさか!?)
『そのまさかよ、あなたは地震の被害にあって命を落としたわ。そしてごめんなさいあなた本当はあの時死ぬはずじゃなかったの、普通こんなことはないはずなんだけど極稀にあるのよね』
(そうだったんですか…まあ私にはどうすることもできなさそうなので飲み込むことにします。それに、女神さまが悪いわけではなさそうですし)
『まあ!なんていい子なのかしら、そう言ってもらえると助かるわ。そういえば名前を教えてなかったわね、私の名前は、ガブリエルよ、よろしくね美琴ちゃんっ♪』
そう言ってガブリエルは微笑んだ。
(..っ!!よ、よろしくお願いします…ところで女神様わたしはこれからどうなっちゃうんでしょうか)
美琴がそう質問すると、女神ガブリエルは待ってました!と言わんばかりの顔で語り始めた。
『美琴ちゃんには私が管理する世界に転生してもらおうと思うの!そこわね、剣や魔法が存在していて、魔物とかもいるのよっ』
(テンセイ…てんせい…転生!?転生ってあの転生ですか!?』
『どの転生かは知らないど、たぶんあってるわよ、それで向こうの世界に合わせて体を作らないといけないんだけど、何か希望はあるかしら?』
(じゃあ吸血鬼がいいですっ!!あっそれもただの吸血鬼じゃなくて、『真祖』でお願いします!!真祖っていうのは吸血鬼の王のことでして、それから髪型は長めで、色は銀色で、目は碧眼希望です!!あっただし能力を使うときに限っては、真っ赤に変色するようにお願いします!!えっとーそれから…)
『ちょ、ちょっと落ち着いて!!だいたいはあなたの記憶を覗かせてもらったから大丈夫なはずよ…他の能力についてはちょこっとイジって…はいっ!!』
そう言ってガブリエルが手を叩くと美琴周りに光が集まり始めた
…やがて光がおさまったするとガブリエルが『見てみて?』と手鏡を差し出してきた、美琴が手鏡を見るとそこには、美琴が思い浮かべていた通りの美少女が映し出されていた。
腰のまで伸びている艶のある銀髪に、透き通るかのような紫色の眼、身長はあまり大きくなく140センチ程、顔は凛としていながらもどこか可愛らしさを感じられるようだった。服装は真っ黒なワンピースに、同じく真っ黒なつばの広い帽子をかぶっていた。
「すごい…すごいです!女神様!っあれ?」
美琴が振り返るとそこには体が透けていて今にも消えてしまいそうな女神がいた。女神は嬉しそうな顔で美琴のほうを見ていった。
『残念だけどもうそろそろ時間みたいなの、もう少しお話ししたかったけどね、また今度お話しましょ。』
そう言い残して女神は消えてしまった。そしてそれと同時に美琴の意識もここで途切れるのだった。