ボクは、しゃっくりをすると? すべての記憶がリセットされる!
___ボクは、ある病気なんだけど?
それが、【脳の病気】なんだよ!
他の人からしたら? 不思議な事なのかもしれないけどね。
ボクは、しゃっくりをすると今まであった記憶がリセットされるんだよ。
何も覚えていないし! 誰と居たとか? 何をしていたとか?
___何にも思い出せないんだよ。
・・・それに、しゃっくりは?
突然やって来るんだよ! 家族で晩ご飯を食べている時や友達と一緒に遊んで
いる時、一人で何処かに行こうとしている時などなど。
___何処でもね。
*
___一度! リセットされた記憶は、二度と思い出せないんだよ。
・・・ボクが、分かるのは?
日常生活にする事や毎日必ずする事は、体が覚えているのか?
忘れずに出来るんだ。
___例えば?
朝、何時に起きるとか、ご飯を食べる事や箸の持ち方や服や靴の
履き方やお風呂の入り方など、日常的に毎日する事は忘れていない!
___ボクが覚えていないのは?
昨日、誰と一緒にいて何を話したとか? 何をしていたとか?
そういう事だよ。
___ボクの家族の顔や名前は覚えていても。
僕の仲がいい友達や恋人の顔も名前も覚えていないんだ。
▼
___別にね?
ボクが、産まれた時からの病気じゃないんだよ。
ある日、突然! こんな事になったんだ!
・・・そう、2年前だったかな?
___ボクが、脳に病気があるんじゃないかと思ったのは?
___そのきっかけは? “しゃっくり” だったんだよ。
初めは、大したことがないと思っていたんだけど?
財布を家に忘れてきたり、ご飯を食べる事を忘れていたり。
・・・“ただの物忘れ”かと思っていたのに。
それが、どんどん酷くなってきてね。
___ボクは22年間も住んでいる家の近所で迷子になってしまったんだ。
・・・3時間ほど、家に帰れなくなってね。
ボクは、家に電話をしようと思ったのに、、、。
その、家の電話番号も分からなくなってしまって!
・・・友達も恋人も何もかも、思い出せなくなってしまったんだ。
ボクは、交番に行って警察官に自分の家に帰れない事を話していると?
・・・その警察官から、いろいろと聞かれて。
『___あなたのお名前は? 歳は幾つですか? 仕事は? 年齢は?
誰と住んでいるんですか? この辺に住んでるんですか? お父さんの名前は?
お母さんは? 何人兄弟なの? どこから来たんですか?』 などなど。
___ボクは、何も思い出せなくなって。
・・・交番で一人で、ポツンと座っていると?
ボクの母親が、ボクを心配して携帯に電話をしてきてくれて。
その後、母親がボクを交番まで迎えに来てくれてボクはやっと家に帰れたんだよ。
___ボクの母親は、ただただ僕を見て、ビックリしていたけどね。
『___どうしちゃったの、一史? 何にも覚えてないなんて!?』
『___ごめん、母さん! しゃっくりをしたら? 全部忘れてしまって。
そしたら、ボクは交番でちゃんと話をして家に帰るつもりが、いろいろ警察官
の人に聞かれて、何も覚えてない事に気づいたんだ。』
『___一史、あなた? ひょっとして “若年性認知症” なのかしら?』
『___えぇ!?』
『・・・ごめんね、実は? 私の家族はみんな認知症なのよ。私のお父さんも
おばあちゃんも、それに私の妹は、若年性認知症と判断されたわ!』
『___えぇ!? ・・・そうなの?』
『___これは! 遺伝かもしれないわ!』
『___そんな、まさか!? 認知症って? 遺伝なんかするの?』
『___えぇ! アルツハイマーも遺伝するし! 認知症も遺伝するのよ!』
『・・・・・・』
___母親に聞いたら?
そう、言われてしまったんだ。
___ボクは、母方の方の血が強く入ったのかもしれない。
まさか!? ボクが認知症になるなんて、、、!?
*
___それからというもの。
ボクは、しゃっくりの回数も増えていってね。
どんどん、ボクの記憶から大事なモノがこぼれ落ちて行くんだ。
失っていく方が多くて、ボクの心はどんどん荒れていったんだ。
・・・それでも?
ボクの家族や友達、恋人は。
ボクに、根気よく何度も何度もボクに教えてくれるんだよ。
ボクが直ぐに忘れる事を知ってて、ボクに何度も何度も。
___諦めてないんだよ!
だから! 僕も諦めないんだ!
いつか? すべてのボクの記憶を思い出す為にも、、、。
・・・ボクは、そうやって生きていくんだ!
最後までお読みいただきありがとうございます。