95.ププリュの収穫
「「 収 獲 風 」」
エド様とローズ様の手がシトリンの黄色に輝くと、ふわぁと穏やかな風が吹いてププリュの木を揺らす。
ポトポトとププリュの実が落ちて地面にぶつかる瞬間にふわっと実が上がりゆっくり落ちる。
ププリュの実が地面に落ちたあとは柔らかなつむじ風が起こりププリュの実を小粒ププリュと大粒ププリュ毎に一箇所に集めてくれた。
わあああと植物所属員から歓声が上がる。今日はププリュを収穫する日なのだ!
◇ ◇ ◇
泉が湧いた後、白猫とリュウに促され、その泉の水を2本のププリュの木にかけると、以前の我が家のププリュの様に光り、ププリュの花が咲いた。
その後は、大変な騒動になった……
魔法学校の庭に突如、泉が湧き出たとあって安全なものかどうかを検査をする為、事情聴取をする植物所属員以外は臨時休校になった。
泉が安全な魔力の泉だと判明したものの、魔力の泉まで案内した白猫もリュウも姿が見えなくなり精霊の使いかは分からないままということになった……
「にゃん!」
「みゃあ」
——お世話になります!
——うふふ。いいのよ
「スゥ、それ私の台詞だよ…」
分からないままと言う事になった……白猫はやっぱりスゥだった。
そしてリュウも我が家にやって来た。我が家に大粒ププリュの枝を植えたら一緒について来た。
「みゃああん」
「にゃんにゃん」
スゥとリュウの甘やかな取り込み中は何日も続いて、精霊の使いか確認出来たのは数週間後の事になる。
「スゥが魔力の泉を湧かせたの?」
「にゃん」
—すごいでしょ
「スゥはププリュの精霊の使いなの?」
「にゃん」
—そうよ
「なんで教えてくれなかったの?」
「にゃん?」
—気付いてなかったの?
「…うん」
「にゃにゃ…」
—しょうがないわね…
ラルクやマタルさんは少しおかしいなと思っていたみたいだけど、スゥに魔力がないから確信は持てなかったと言っていた。私は今までスゥの副音声が聴こえていると思っていたけど、スゥは私には分かる様に話していたらしい……それを知った他の人に凄く残念な子を見る目で見られた……だって気付かなかったんだもん。
スゥは小粒ププリュの精霊の使いで、リュウは大粒ププリュの精霊の使いだった——
◇ ◇ ◇
「……本当に復活したんだな」
「はい!エド様、おめでとうございます」
「リマニーナのおかげだな」
「植物所属員と魔力の泉のおかげですよ?」
「…ああ、そうだな」
「はい!エド様も一緒に作りましょう?」
エド様の腕を引き、みんなの優しい笑顔の輪の中に入る。
魔力の泉の騒動が収まるとリュウもスゥも魔法学校にも現れる様になった。ゴロゴロ甘えあう2匹は魔法学校でも有名……。
スゥにみんなに精霊の使いだって言わないの?と聞くと、猫に擬態している内に、気ままが1番だと思うようになったからいいのよと言っていた…気まま過ぎる…!だから枯れちゃうんだよ!と怒ったらリュウにスゥを怒らないでねと嗜められた……。
「僕達も最初は魔力の泉を湧かせて、ププリュの木がちゃんと育つ様にして来たの…だけど、ププリュの実は人間には美味しくないみたいで、それでも最初の頃は回復薬の素材になるって喜ばれていたんだけど、段々他の素材が良いとなって……魔力の泉もププリュ以外に使われる様になって僕達ププリュは適当な扱いになって来たんだ…」
リュウがスゥを庇うように話してくれる。
スゥが人の前に姿を見せるのは数百年ぶりだと言っていた……スゥ、ごめんね。
確かにこの世界では、ププリュは生で食べていて渋くてあんまり大事にされていない……でも私は美味しいって知ってるよ?
「じゃあププリュの美味しさと効果をみんなが知ったら驚くと思うよ?」
「僕達、美味しいの…?」
「もちろん!リュウ任せておいて」
今日は植物所属員にププリュの美味しさを知ってもらう予定なんだ!
「リマ、ププリュシロップどうやって作るんだ?」
「綺麗に洗って、 甘 水 晶 と交互に入れるんだよ」
「どれくらいで飲めるのかしら?」
「 甘 水 晶 が溶けたらだから2週間くらいかな」
「俺、そんなに待てない!」
植物所属員とわいわいとププリュシロップを仕込んで行く。本当は私の美味しくなーれ魔法を使えば出来るけど、最上級回復薬になるのでみんなと同じ様に2週間待つ事になっている。
以前チェダに私が魔法を使わずに作ると果実シロップになると話したが、ププリュはププリュ自体が上級素材なので、シロップ漬けにして薄めても下級から中級の回復薬になると思う。ププリュの美味しさと効果が伝わって、ププリュが大切にされるといいなと思う。
スゥもリュウも自分達のププリュに興味があるらしく近くで見守っている。
「出来たー!」
「あとは毎日瓶を揺するだけだね」
「俺、毎日朝に揺するぜ」
「だな」
リュウが近くに来たので、しゃがみ込む。ゴロゴロと頭を擦り付けるので、撫でると更にゴロゴロ喉を鳴らす。
「リュウのププリュシロップ、きっと美味しく出来るよ」
「にゃん」
——ありがとう
「うん!」
ププリュシロップを飲んだ植物所属員がその美味しさと回復薬になったププリュシロップに驚く事になるのは、あと2週間後のおはなし——
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
ププリュの話しはひとまず終わりです◎
ちょっと書き直しするかもですが…。
今日もお疲れ様でした。
穏やかな夜が訪れますように。お休みなさい。















