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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
14歳は魔法学校のはじまり

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93.ププリュと猫



あっという間に放課後になった。

ププリュ!ププリュ!ププリュの時間だね!


「チェダ!早く行こう」

「リマ早いな」

「うん!すっごく楽しみだね。アミーのクラス寄って一緒に行こうよ」

「はいはい。よし行くか」

「うん!ラルク、エイミ、2人も頑張ってね。また明日ね」


ラルクとエイミに笑顔で手を振り、チェダを引っ張る様にCクラスに向かった。アミー用意出来てるかな?


「ねぇラルク、私も植物(プランツェ)に入れば良かったかも。リマに毎日ああやって誘いに来て貰いたい…」

「エイミ、僕もだよ」

「「はぁ…」」


2人が教室で溜息を吐いているとは全然知らなかった。


ププリュは下級生棟の少し先に生えているらしく、着替えを終えた植物(プランツェ)所属員と向かう。

朝の水やりは魔法学校がお休みの日もある為、一応当番が決まっているが、来たい人は毎日来ていい事になっている。ほとんどの所属員は来ているみたい。うん!毎日来た方が変化も気付くし、楽しいもんね。放課後の活動は、気になる植物(プランツェ)をみんなで行うの!

種まきをする日、花壇の寄せ植えを作る日、木の実を拾う日…………この所属、楽しすぎる!



今日はエド様の提案する『ププリュの日』



どんなププリュ?

わくわく…わくわく…



「これが魔法学校のププリュだよ」






「…………これだめです」





ププリュの剪定がされてない!伸び過ぎ!陽当たり悪くなってる!これは…だめなやつです!

魔木のププリュは、魔力があるから自然にしておくっていうのがこの世界の基本的な考え方なんだよね。だからエド様や植物(プランツェ)所属員の人達が悪いとは一概に言えないけど……私は、この世界の中心でこう叫びたい。



——桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿——



ぷつんと私の中で何が切れた音がした。



「こんなに伸び放題にしていいと思っているんですか?」


「…こほん、リ、リマニーナ?」

「いいと思っているんですか?」

「…いいと思っていません…」「思っていません…」


「ププリュに悪いと思っているんですか?」

「…こほん、リ、リマニーナ?」

「悪いと思っているんですか?」

「…悪いと思っています」「思っています…」




「ではこれから全員にはたらいてもらいます!」




ププリュの剪定を行う為に、テキパキと指示を出す。みんな植物(プランツェ)が大好きだから張り切って行動してくれて嬉しいね。うんうん、ププリュが見違える様に良くなったね…!



「…ラルクがさ、リマはふんわりしてるけど植物(プランツェ)が絡むと人が変わるって言ってたの本当だったんだな」

「…そうだね」

「なにか降臨してるな」

「天使は何処に召されたのか……」

「俺はもっと叱って欲しいかも…」

「2人きりで叱られたい」



植物(プランツェ)所属員がこそこそ話していたのは気付かないままププリュの剪定作業が終わった。


「これで大丈夫だと思います」

「…こほん。これでププリュは実がなる様になるのか?」

「え?実はならないです」




「「「えっ?」」」



「え?」

「リ、リマニーナ?実がなる為に貴重なププリュの枝を切ったのではないのか?」

「違いますよ?ププリュの木の元気が無くなりそうだったので、剪定しただけです」

「…実はならないのか……」




「え?実もなりますよ?」




「「「えっ?」」」


「え?」

「…こほん。リマニーナ、君と話していると混乱して来たんだが……」

「リマ、俺もよく分からないからちゃんと説明して」

「えっとね……」



「にゃん」


みんなに説明しようと思った時に1匹のキジトラ猫が現れた…可愛いよね、猫ちゃん!

スゥより少し大きいかな?


「あ!猫だ」

「おっ!やっぱり来ましたね」

「ププリュの作業してると必ず現れる猫なんだ」


エド様がキジトラ猫について教えてくれる。ププリュが好きな猫なのかな?

みんなで猫の周りに集まる。ゴロゴロと喉を鳴らしみんなの足元にまとわりつく。懐こい猫だな。私も触りたくなり、背中を撫でると、うにゃんと気持ち良さそうな声を出し、頭をすりすりと擦り付けるので、頭から首の辺りを更に撫でる…可愛いな。

横にエド様もしゃがみ込み、キジトラ猫を撫で回す。目が(とろ)けそうだから猫好きと見ました!


「こほん、リマニーナは猫が好きなのか?」

「はい!我が家にも1匹飼っているんですよ」

「エド様もお好きなんですか?」

「好きだが、猫に触るとくしゃみが止まらなくなる」

「え?大丈夫なんですか?」


「エドはね、この猫だけ平気みたいで、触れるから溺愛してるのよ?この猫に会いたくて、ププリュ活動してる様なものよ。でも今日はすっごく触らせてくれるわね…いつもは少し撫でると帰っちゃうのよ」


気付けばローズ様も隣にしゃがみ込み、キジトラ猫を撫でている。エド様、不純な動機……!でも猫の可愛さは異世界共通です!仕方ないです!


「名前は付いてるんですか?」

「ププリュ活動の時だけ現れて、雄猫だからリュウよ」

「リュウよろしくね」

「にゃん」


スゥもププリュ活動している時に現れた猫だったな。リュウもスゥと同じ、鍵シッポ猫だ!こっちの世界だと『精霊のしっぽ』だったよね。『精霊のしっぽ猫を見かけたら魔力の泉を探せ』だったかな?

はぁ、それにしても 可愛いな。スゥも可愛いけど、キジトラ猫にはキジトラ猫の可愛さがあるよね。


「エド様、魔力の泉を探しましたか?」

「…こほん。もちろん、植物(プランツェ)所属員で学校の敷地を隈なく探したよ」

「そっか、精霊のしっぽ猫ちゃんだけど魔力の泉は無かったんですね」

「…こほん。まあな。だけど、リュウの可愛さは変わらないからな」

「そうですね」


うふふとリュウを撫でる。エド様もローズ様も他のみんなも(とろ)け顔で撫でている。これはププリュ活動をしてリュウに会いたくなってしまうかも…!



「なあリマ、さっきの続き聞いてもいいか?」

「…?」

「はぁ。ププリュの実はなるって話だよ」



やれやれとチェダに首を振られた………

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


ププリュの話しを一気に書き終えたかったのですが、ちょっと長くなりました…もう少しププリュにお付き合い下さい(*^_^*)キジトラ猫可愛いですよね。


今日もお疲れ様でした◎

安らぎの夜が訪れますように。お休みなさい。

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