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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
14歳は魔法学校のはじまり

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90.精霊の加護


「ふぅ…」

「ふぅ…」

「ふぅ…」



大人の男の人が真面目な顔でたんぽぽの綿毛を吹く姿も珍しいよね…?このたんぽぽの綿毛は、我が家の庭に咲いたものを鉢に植え替えて持ってきた。大人達、王宮魔導士さんと王宮庭師長さんとお父さんに飛ばされた綿毛を目で追った。



ふわふわと飛んでいた綿毛がキラキラ光り消えた……



春の儀式で咲く野花は咲き終わると消えてしまうらしい…私の大きくなーれ魔法で咲かせた『たんぽぽ』について話しが聞きたいと王宮に呼ばれている。



「リマニーナ、たんぽぽを咲かせて見せて欲しい」

「…はい!」



国王陛下に言われ、私もたんぽぽの綿毛をふぅ…と飛ばし、ふわふわと飛んでいく綿毛が地面に降りたのを見て、大きくなーれ魔法を唱えるとたんぽぽの花が風に揺られる様に咲いた。



「本当に咲くとは…」

「これは…」

「さすが私の娘だな」



お父さんの反応が親ばかで少し恥ずかしいけど…やっぱり春の儀式の野花が咲くのは珍しいらしい。王宮魔導士さんと王宮庭師長さんに大きくなーれ魔法について詳しく聞きたいと(にじ)り寄られる…長身の大人2人が迫って来るのは怖い…私もじりっと後ろに下がるとラルクが間に立ってくれる。

ほっとしてラルクの背中の洋服を掴むと、国王陛下が2人に下がる様に伝える。



たんぽぽ珈琲を淹れ終えた所で国王陛下が人払いをした。

国王陛下、王妃様、ハルト、ラルク、お父さん、私だけになった。



「凄い鑑定書だな…」


国王陛下がお父さんに渡された鑑定書を読みながら呟いた。



〈たんぽぽ珈琲〉 最上級魔力(マジー)回復薬(ポーション)


春の精霊が氷の精霊の為に咲かせたたんぽぽ。

春の精霊と氷の精霊の加護を受けた者によって作られた最上級回復薬(ポーション)


〈効果〉

二日酔いに効く

氷の魔法がほんの少し使えるようになる

春の魔法がほんの少し使えるようになる



「不思議な香りだな…味は癖になる苦味がいいな…ヘリオスが隠すのも分かるな」

「これは娘が私の為に作ってくれた物ですから隠していた訳ではありません」

「そう言うことにしておこう?」


ニヤリと悪い顔になった国王陛下がお父さんに話しかける。2人は魔法学校で同じだったから仲が良いみたい。

さて…と話し出した国王陛下の雰囲気が先ほどまでの気さくさを無くし、背筋を正したくなる様な重々しい雰囲気に変わった。



「人払いをしたのは、王家に伝わる建国物語の続きを話すためだ」



国王陛下が1冊の古い書物を広げる…



「 冬の魔王と呼ばれた氷の精霊がラシャドルの樹になり、冬が続かない為に、春の精霊の杖で春を呼ぶ儀式を行う……ここまでがラシャドル王国の建国物語として知られているが、その先がある。1000年先、冬の魔王と春の精霊に愛される者が現れ、その者によって冬の魔王の怒りが解け、冬の魔王の眠る樹が冬と春を繋ぐ樹に変わる時、春の精霊と氷の精霊が姿を現わし、この国を守ると伝えられている」


へぇ…?そんな続きがあるんだ…?


「リマニーナ・エディンリーフ殿、鑑定書を見ると貴殿がこの春の精霊と氷の精霊に愛される者に間違いがないと思う」


「…えっ?」


「この愛し子を我が国(ラシャドル王国)へ迎えなければ、再び冬の魔王に支配され滅びるだろうとも伝えられているので、国民には伝えていない」


…えっ?うん?この国が滅びる…?


「来年、ラシャドル王国は建国1000年を迎える」



……あれ?ちょっと頭が混乱……



「リマニーナ・エディンリーフ殿、我が国(ラシャドル王国)ハルトフレート第一王太子と結婚し、嫁いで貰いたい」



……ハルトと結婚…?



「ああ…!ハルトフレート第一王太子なら来年に魔法学校を卒業するから結婚も可能だし、リマも仲良く遊んでいるからいいんじゃないか?」

「そうねぇ。ティエラと子供同士が結婚するといいわねと話していたし、ハルトはリマの事、気に入っているものね。ハルト良いわよね?」



……ラルクじゃなくてハルトと結婚…?



「「父上!!」」


ラルクとハルトが国王陛下に慌てた様に声を掛けたのも気づかなかった…



………ラルクじゃない人と結婚…?



「どうした2人共?」



…やだ

…やだ

…心が冷える…



…世界の色が無くなるみたいだ

…ラルクのお嫁さんになれないなら愛し子も加護もなにも要らない…





…ピシッ

…ピシッピシッ……ピシッピシッピシッ…




…目の前のたんぽぽ珈琲が凍った…


…目に映る物がゆっくりと凍り付いていく…





…ピシッピシッ……ピシッピシッピシッ…



…ピシッピシッ……ピシッピシッピシッ…




「父上!私とリマの結婚を取り消して下さい!」

「…しっしかし…」

「リマはラルクが好きなのですよ!」

「…しっしかし…」

「早く!王宮が凍り付きます!」

「…分かった!2人の結婚は取り消す…!」



…本当に?



「リマ、もう大丈夫だよ」

「…ほんと?」

「本当だよ。氷の魔法を解ける?」

「氷の魔法…?」


ラルクがぎゅっと抱き締めて背中をポンポンと撫でてくれると、急に力が抜けた……ラルクの体温が温かくて、嬉しくて、腕を伸ばしてぎゅっと抱き着いた…。



…ゆっくりと凍り付いていた物が溶けて行った……

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


うーん、一気にここは書き終わりたかったのですが、分けます(^_^;)シリアスなのが苦手で…次はシリアスじゃない予定です◎


今日もお疲れ様でした。

穏やかな夜が訪れますように。お休みなさい。

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ヘッダ
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