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9.お願いごと

読んでくださる方が少しづつ増えていて、とっても嬉しいです。

ありがとうございます。



 ラルクに「ププリュの実を見てみたい!」と私の頑張る宣言した後、ラルクの執事さんが到着した。

 執事のマタルさんは、すらりと背が高く、執事服をきちっと素敵に着こなし、仕事が出来る執事……! を絵に描いたような見た目だった。


 大人びたラルクも、本物の大人執事のマタルさんには敵わないみたい! 2人の会話の内容は聞こえないが……ラルクの口が尖っていて、ちょっと可愛く見えた。



「もう少しリマと居たい……」

「今すぐ帰らないと報告致します」

「……帰るよ。マタルには敵わないな……」

「ラルク様の執事ですので」



 ラルクもまだちゃんと子供なんだな……と思い、安心した。ほんの少し口が尖り、拗ねた様子のラルクを微笑ましく見ていたら、「リマまた来るね」と優しく頭をぽんぽんと撫でて、マタルさんと庭へ出て帰って行った……?



 マリィに聞くと、「ラルク様とマタル様は、エディンリーフ家のお庭に面したお隣のお庭を通って遊びに来ているのですよ。ティエラ様とラルク様のお母様が幼馴染で、お2人が小さな頃はお庭からお庭へ行き来し、遊んでいたと伺っております」と教えてくれた。


 あ……!

 だからラルクがお庭から現れたんだね。

 マリィがにっこり微笑み、頷いた……! 私、何も言ってないのに……マリィがエスパーみたいです!


「大きな家同士ですと、子供同士が少し遊ぶ為にも使者を送り、相手の家の都合を確認する必要がございます。……直ぐに遊びたいのに! と可愛い娘達に1週間、碌に口を聞いて貰えず、両家の庭が繋がったと伺っております。……これはティエラ様には、内緒でございますよ……?」



 もちろんお母さんには言わないよ!

 何とお母さんとラルクのお母さんが口を聞かないで繋がったお庭でした……!



 その後、少しお昼寝をして、夜ご飯を食べ終え、食後のゆったりお茶を飲んでいる。

 お母さんは、マリィがミルクをたっぷり入れたミルクティーを飲み、お父さんは、茶葉の名前が呪文みたいに長い紅茶を飲んでいた。

 私には、よく眠れるように、ほんの少し砂糖の入ったホットミルク。ミルクが濃厚で、舌の上をまったりゆったり溶けていく……



「お父さん、お母さん、ププリュの実を見てみたいの! お庭のププリュの木のお世話をしてもいいかな……?」


「マリィから聞いているわ。リマも少しずつ元気になっているし……好きな事をするのは、長く続くでしょうから良いと思うわ。ヘリオスどうかしら?」


「お父さん、いいかな……?」



 少し眉を寄せて考えているお父さんに、ほんの少し首を傾げ、お祈りのポーズで聞いてみる……。リマのかわいさを最大限に発揮していると思う。多分。

 お父さんと見つめ合うこと、数十秒……



「リマが約束が守れるなら……」

「ちゃんと守ります!」

「ちゃんと聞いてから返事をしなさい」

「はいっ!」


「1個目は、庭へ行くときは誰かと一緒に行くこと。2個目、体調の悪いときは絶対に休むこと。3個目は、マリィの言う事を聞くこと……4個目は……12個目は……33個目は…………」



 お父さん、同じ事がひたすら繰り返しになってる……! うん、でも倒れたこともあるし、体調には気をつけて活動しなくちゃ……!



「……お父さん、心配してくれて、ありがとう。ちゃんとマリィの言うことを聞いて、無理はしないから……ププリュの木のお世話をしてもいい?」


「……許可するよ。リマ、ププリュは魔木だから自分で成長する木だ。もし実が出来なくても気にすることはないからね。我が家のププリュの木は、この数十年、花が咲いた事も実が出来たことないんだよ」



 お父さん、ププリュの花も実もならないことを少しは気にして……!

 ふふふ、燃えてきたよ!

 私、絶対、ププリュの実を見ちゃうからね!



「ありがとう! 私、頑張るね!」



 2人にお願いを許してもらったら急に眠たくなって来た……「ふあぁ……」と小さな欠伸が出てしまう。



「リマはもう寝た方がいいわね?」

「リマにやすらぎの夜が訪れますように……」



 お父さんとお母さんに、お休みの挨拶をして、マリィに寝支度を整えて貰うと、ゆめかわなリマの部屋の天蓋付きベッドで目を閉じた。「マリィ……おやすみなさ……い……」私はあっという間に眠りに落ちた……




 その夜は、ププリュの木に、沢山の白い花が咲く、しあわせな夢を見た……

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