85.所属紹介
「私はAランチにしようかな」
「俺はB」
「僕もBかな」
「私もBランチかな」
エイミとチェダと仲良くなれた次の日、みんなで魔法学校の学食を食べに来ている。魔法学校の学食は単品メニューもあるが、基本はAランチかBランチの2択。
今日のAランチは、サンドイッチの盛り合わせと果物のセット、Bランチはチキンを炒めた物にパンが付いている。
「いただきます」
ぱちんと手を合わせると、エイミとチェダに不思議な顔をされた。こっちにはない習慣だからね…。
あむっとサンドイッチを食べると新鮮な野菜を使っていてとても美味しい。
「リマ、そんなに美味しい?」
「美味しいよ!エイミも食べる?」
エイミにサンドイッチをひとつ差し出す。
「ありがとう。じゃあこれあげる」
「えっと……?自分で食べれるよ?」
「ほらほら、あーん」
「…あーん?」
自分のフォークあるんだけどなぁ。
エイミに鶏肉をひとかけら口に運んでもらった。
エイミがうんうんと頷くので、まあいいやと思い、自分のAランチを食べる。
「…リマ、もっと食べる?」
「…?」
「ラルク、エイミだけで視線が凄いんだからやめてくれ」
「…?」
「リマは何か所属する予定?」
「えっと、植物を育てるのとお花を生けるのが気になってるよ。チェダは?」
「俺は何もやらないかな?」
「そうなんだ。エイミも?」
「私は、午後の説明会を聞いて面白そうなら入ろうかな?」
「そっか。ラルクはやっぱり剣術?」
「…剣術か植物に入ろうかな?」
「ラルク、そんなに植物好きだったの…?」
いつの間にラルクが植物好きになっていたのかな…?一緒に檸檬の木を植えたり、たんぽぽ摘みしたり…いつもお花の綺麗な場所に連れて行ってくれるもんね…!
あ…でも剣術所属ならラルクの剣術する姿を見る機会もあるのかな?きっと格好いいよね…見たいな。
「…ラルク……大変だな」
「…そこがかわいいんだけどね。」
「…私、この可愛すぎる生き物持ち帰りたい…」
ラルクとの思い出に浸っている間、3人の会話は聞こえていなかった…
「……変な虫が付きそうだから心配」
「……!ラルク、どんな虫…?ミントスプレーじゃ効かないかな?」
「そうだな、目にかけたら効くかもね?」
「じゃあ今度持って来る?」
「うん。お願い」
チェダがお腹を抱えて横を向いているけど平気かな?食べすぎかな…?
午後は所属の説明会が講堂で行われるので4人で移動する。
1年生は3クラスあって1クラス20人くらいなので60人程の集まり。
席はクラス毎に好きな様に座っていいので、ラルクとエイミの間に座る。と言うより2人に横に座ってと言われたので必然的に場所が決まった感じだね。
「ハルトフレート様は何に所属しているの?」
「ハルトは、コーフボールだったかな?」
「そうなんだ!じゃあちゃんと聞こっと」
「ハルトって人気あるの?」
「…!あるよあるよ!あの金髪に青い眼……格好いいし成績抜群で憧れてる学生ばっかりだよ!入学式の在校生代表の言葉も素敵で歓声も出てたでしょう?」
「……へぇ」
ハルトの人気ぶりをエイミが熱く語るのをうんうんと頷きながら聞く…ハルトって食いしん坊なイメージなんだけどなぁ…別人みたい?
…!
隣のラルクが小指をするりと絡ませるのを感じた。
ラルクはチェダと普通に会話をしているのに…!
私も顔をエイミに向けているのに意識が小指に集中する…もうラルク………
「リマ顔赤いよ?」
「…大丈夫…」
「講堂に人が増えて来たから暑いよね…」
…小指をきゅっきゅっと強く絡められる…ラルク絶対にわざとだよね…?
小指を解こうと思うのにぎゅっとされて動かせなくて……エイミが変に思うからやめてと小指をきゅっと握ると、するりと解いてくれる。
「リマ、顔赤いの?大丈夫?」
くすりと笑ってラルクが顔を覗き込み、おでこにぴとりと手の平を当てる。
……わざとだよね?
「ラルク、そういうのやめろって。リマが困ってるだろ」
「わかったよ。もう始まるしね」
ラルクの言った通り、講堂は薄暗くなり、直ぐに所属の紹介が始まった。
すぐにラルクの小指もするりと絡んで来たので、むぅと睨むと、甘い黄金色の瞳に微笑まれ、私が負けた。甘やかに繋がれた小指のままで所属説明を聞いて行く。
「次は剣術所属だね?」
「そうだね」
ラルクが気になっている剣術所属だと思い、小さな声で話しかけると甘さを含む優しい声を耳元で落とされ、心臓が跳ねる。耳元に話しかけないでほしい…
剣術所属は、所属している上級生が鎧と兜を着けて模擬戦闘を見せてくれている。さすがに真剣ではなく、木刀だけど。騎士を目指す、騎士見習いになりたい人が入る事が多いらしく迫力がある…
「……格好いい…」
気迫や模擬戦闘は勿論、鎧と兜という格好がまた素敵だな。みんなガッチリした体格なのも素敵……小春は鎧兜着ている人は居なかったから余計にそう見えるのかも?
……!
ラルクが小指をぎゅっと掴む。ちょっと痛くて、むぅと顔を向けると、見惚れ過ぎ…と呆れられた様な声を出された。
「………」
次はお花を生ける所属。
女子学生が多いみたいで、みんなでお花を花瓶に生けて行く。華道に近いのかな?我が家もだけど、大きなお店や家だとお花を生けるのをプロに頼んでいる事も多いんだよね。
私もお花生けてみたいかも…!
色々なお花に囲まれるのもいいな。
「リマに似合いそうだね」
「お花好きだからこれもいいかも」
エイミに小声で話しかけられにっこり答える。
次は植物を育てる所属だね。
所属長の男子学生が壇上で、活動紹介をしてくれた。
魔法学校の植物のお世話をしている事、植物のお世話なのでお休みの間もお世話をする事、朝の水やりや草取りなど、沢山の活動を真面目にしている事が分かる。
うんうん、きちんと活動していて好感度高い…!
「あと魔法学校のププリュの実を復活させようと思っています」
…ププリュ!
魔法学校にププリュがあるの…?
ププリュの実が成らないのは何でだろう?
「リマ!リマ!終わったよ?早く戻ろう」
「…!エイミ…!みんなは?」
「もうみんな教室戻ってるよ。私達も急ごう」
「……うん。ごめん」
エイミに手を引かれて教室に戻る。その後ろで…
「ラルク、どうするの?」
「……両方入れると思う…?」
「…苦労するね、王子様も」
チェダがやれやれと頭を振っていた。
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
折角4人仲良しになったので会話を少し頑張ってみようと思っています。
誰が誰の会話か分かりやすく書いている文章の凄さを感じつつ……少しでも分かりやすく書けるように頑張りたいと思います。
今日も頑張って行きましょう◎















